野菜の価格高騰 食卓を直撃 キュウリ6.4倍 大雨でかつてない高値

大雨で価格が高騰し、手が届きにくくなっている野菜=長崎市城栄町、ジョイフルサン城栄店

 全国で深い爪痕を残したお盆前からの大雨で、野菜の品薄と価格高騰が食卓を直撃している。長崎市中央卸売市場の卸売価格は、県産キュウリが前月同時期と比べ、6倍超(21日現在)に跳ね上がる一方、入荷量はほぼ半減。スーパーでは、1本単位で売る方法に切り替えるなど、窮余の策でしのいでいる。
 「かつてない高値になっているが、できるだけ価格を抑えて、鮮度のいいものを出している」。長崎市城栄町のジョイフルサン城栄店の担当者は、苦しい胸の内を明かす。
 本県、佐賀を中心に展開するエレナ(佐世保市)の担当者も「キュウリやナスの入荷が激減した。必要な量がそろわず、袋売りはできない」と困り顔。全国各地の産地で大雨被害が相次ぎ、ピーマンやトマトの価格が上昇し、葉物野菜も入荷が減り始めている。
 両社とも、高値が続くキュウリやナスは、1本単位で販売。キャベツなどは2分の1や4分の1の大きさに切り分けて、“値ごろ感”を工夫する。価格が安定しているカット野菜やモヤシに切り替える顧客も目立つ。
 卸売業の長崎大同青果(長崎市)によると、コロナ禍で飲食、宿泊業の需要減を受け、野菜価格は昨年秋から今月初めまで低迷していた。一転して上昇したのは、今月12日からの大雨後。21日現在の同市場での卸売価格は7月21日と比べ、キュウリは約6.4倍、ナスは約2.8倍、小ネギは約1.6倍増。一方、入荷量はいずれも5割前後、減少している。
 市場関係者は「天候が持ち直せば、県内産の入荷は徐々に回復するだろう。しかし、ビニールハウスなどが被災した佐賀や福岡からの葉物野菜は品薄となる。品目によって影響が長引くかもしれない」と先行きを案じる。

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