韓国紙「目はあるが拳がない自国イージス艦」「迎撃ミサイル先送りは中国への気遣い?」

韓国紙が、自国イージス艦への高高度迎撃ミサイル搭載に積極的にみえない政府に疑問を呈している。

中央日報は24日、「《目》はあるが《拳》がないイージス艦…結局、北・中国に気遣い?」という特集記事を掲載し、2024年から実戦配備される韓国の次期イージス艦(広開土大王ⅢBatch-Ⅱ)に搭載する迎撃ミサイルの選定が先送りされ続けたことで、「北朝鮮の弾道ミサイル防衛戦略に赤信号が灯った」とし、一部では、中国と北朝鮮の顔色を伺い迎撃システム導入を先送りしているのではないかという疑惑まで起きていると伝えた。

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同紙によると、韓国軍当局は当初、高高度で迎撃できるSM-3ミサイル(迎撃高度70〜500㎞)のイージス艦搭載を求めたが、後に国内での自主開発に方向を定め先送りに。しかし、現状でSM-3レベルの国産化が不可能であるとの研究結果が出るも、1年過ぎた現在も明確な理由なしに迎撃システムの選定が先送りされていると指摘した。

中央日報によると、軍の内外では、既存のイージス艦のように目(高性能レーダー)だけあって拳(弾道弾迎撃ミサイル)はない「半端なイージス艦」を配置することに懸念が出ていると伝えられた。

現在、韓国海軍は世宗大王級(7650t級)と呼ばれるイージス艦3隻を保有している。これら艦はAN / SPY-1D(V5)対空レーダーを使用して、約1000㎞の外弾道ミサイルを探知及び追跡することができるが、米海軍や海上自衛隊のイージス艦とは異なり、リアルタイムのレーダー情報と連動して弾道ミサイルを迎撃することができるシステムは備えていない。

画像:世宗大王艦/韓国海軍

中央日報は、北朝鮮の核及びミサイル攻撃に対応するには、SM-3ミサイルの導入が切実な状況であるとの軍消息筋のコメントを伝えた。

また、国産化が不可能という結論が得られたにも関わらず、配備を先送りする政府に「釈然としない」という声が軍関係者から漏れてくると同紙は伝え、「在韓米軍のサード(高高度迎撃システム)導入当時、中国と北朝鮮が激烈に反発しただけに、政府がSM-3の導入に伴う米国のミサイル防衛(MD)システム編入による波紋を懸念している可能性がある」との関係者による分析を紹介した。

現在、米国と日本が共同開発中の改良型SM-3ミサイル(ブロック2-A)の場合迎撃高度1200kmに達していることなどから、中国側はこれを警戒していると同紙は指摘し、「それだけ中国や北朝鮮の立場では不都合で恐ろしい一方、私たちにとっては切実な防御兵器」であるとの軍関係者談を伝えている。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「独自開発、国産化という言葉はもっともらしく見えるが、高等訓練機すら米最大の武器の航空会社であるロッキード・マーチンの助けを借りて作られたもの…」
「大陸間弾道ミサイルに対する防御より、まずは短距離弾道ミサイル防衛が急務である。それから国産で開発して配置しても遅くない」
「親中反米大統領は下りてもらって、親米反中大統領を20代大統領で頂こう」
「次期政権で選定されるだろう。現政権は作戦権転換が最大の課題であるが、SM3を搭載すれば米国のlink16を使わざるをえず、作戦権が遅れる要因となり、どうすることもできないだろう…」
「小説を書きますね。結局は金を突っ込めということでしょ」
「国を守る自信のない政権は一日も早く退かねば」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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