鈴鹿8耐中止で持ち越されたカワサキ連覇への挑戦「本当に残念。鈴鹿に戻ってきたい」とレイ

 8月19日、三重県・鈴鹿サーキットで11月5~7日に行われる予定だった『2021 FIM世界耐久選手権(EWC)“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会』が新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催中止となることが発表された。これを受けてKawasaki Racing Team Suzuka 8Hとして参戦予定だったSBKライダーのジョナサン・レイとアレックス・ロウズが鈴鹿8耐中止についてコメントした。

 カワサキは2019年にファクトリーチームのKRTを18年ぶりに復活させ、Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hとして鈴鹿8耐に参戦。SBKで連覇を果たしているレイ、チームメイトであるレオン・ハスラム、トプラク・ラズガットリオグルの3人で挑んだ。

2019年鈴鹿8耐:ジョナサン・レイ(Kawasaki Racing Team Suzuka 8H)

 決勝ではトップ争いを演じてトップに立ったが、レースが残り数分となった時点で他車からオイルが漏れるなどあり、レイが転倒を喫する。赤旗が掲示されてレースが終了したが、ピットに戻ることができず未完走で順位認定から除外された。

サーキットのビジョンに映し出されたジョナサン・レイの転倒シーン

 しかし、チームから抗議が提出され、レースディレクションが赤旗中断時の規則を適用する決定を下した。これで判定が覆り、カワサキは1993年のスコット・ラッセル/アーロン・スライト組の優勝以来、26年ぶり2度目の勝利を達成した。

 そんなKawasaki Racing Team Suzuka 8Hは、2021年の鈴鹿8耐に選考委員会による推薦チームとして出場することが決定。ライダーはSBKでもエースライダーであるレイ、ロウズ、ルーカス・マヒアスの3人。マシンは、2021年に新型となったカワサキNinja ZX-10RRの鈴鹿8耐仕様がお披露目される予定だった。

2021年鈴鹿8耐にKawasaki Racing Team Suzuka 8Hから参戦予定だったルーカス・マヒアス

 ところが、新型コロナの感染拡大状況や各地域での防止対策、海外からの渡航や入国が難しいことから2021年の鈴鹿8耐が中止されることが発表され、2019年にチェッカーを受けていないカワサキの連覇への挑戦は持ち越されることになった。これを受けてカワサキはレイとロウズのコメントを発表した。

カワサキのジョナサン・レイ、アレックス・ロウズ

■ジョナサン・レイ
「カワサキのトップマネジメントや、年間を通してサポートしてくれるアジアのカワサキファンの皆さんとお会いできる良い機会だったので、鈴鹿8耐に参戦できないのは本当に残念だ」

「メカニカルな面でも、人間的な観点から見ても、とても信じられないほどのレースだ。もちろん、このレースのためのすべての安全プロトコルに従わなければならないし、僕はそれを全面的に支持している」

「レースに近づいてからよりも、今すぐ中止の決定を下したことがベターだったね。将来的には鈴鹿に戻ってきたいと思っているよ」

■アレックス・ロウズ
「鈴鹿に行けないのは非常に残念だ。まず、ジョニー(ジョナサン・レイ)とパートナーを組むことをとても楽しみにしていたし、とても良いチームになると思っていた。次に、これまで多くの成功を収めてきたサーキットやイベントに戻りたかった」

「日本でカワサキのために走ることは、僕にとって楽しみなことだ。本当に楽しみにしていたから、今年はそれができないこと、そして日本のみんなに会えないことが残念だ。カレンダーから外れるのは残念だ」

■ギム・ロダ監督
「今年の鈴鹿8耐で走るのは大きな挑戦だった。特に、川崎重工がカワサキ・レーシング・チーム(KRT)のスタッフに運営を任せ、川崎重工のエンジニアと連携して運営するからだ」

「また、新型コロナの問題から正常な状態に戻ろうとし、レースファンに希望を与え、素敵なエンターテイメントを提供しようとした川崎重工の努力を高く評価したいと思う。最終的には、ロジスティックな問題と新型コロナの問題が重なり、実現できなかった」

「川崎重工の今後の取り組みは、2019年に獲得したNo.1を守るために、より強くなって戻ってくるという決意を持って継続されることだろう」

「2021年の布陣は、レイとロウズ、そしてマヒアスがサポートするという有望なものだった。確実に、素敵なショーになっただろう。これが、近い将来に多くの大きな前進をするための一歩になることができれば良いと思う」

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