衆院選長崎2区 加藤氏不出馬意向 後援会「長男を後継に」、「公募が筋」とけん制も

 次期衆院選長崎2区で立候補を予定していた自民党現職の加藤寛治氏(75)=3期目=が不出馬の意向を後援会に伝えた。地元からは驚きや惜しむ声が聞かれるが、関係者の関心は早くも後継に移っている。加藤氏の意中は秘書で長男の竜祥氏(41)とみられるが、党内には「公募が筋だ」とけん制する動きもある。
 28日午後、長崎県島原市内の事務所。十数人の後援会関係者を前に加藤氏が不出馬を表明すると、驚きが広がり涙ぐむ姿もあった。「(加藤氏が)熟慮した結果。尊重すべきだ」との声が上がるとともに、後継として竜祥氏を推すことを全会一致で決めた。古参の後援会関係者は「数カ月前に会った時、顔色が悪く、やせたように感じた。不出馬は残念だが、本人は私以上に無念だろう」とおもんぱかった。
 ただ、衆院の解散前後に加藤氏が竜祥氏を後継に立てるとの臆測は、以前からささやかれていた。加藤氏は75歳と高齢で、そう遠くない時期に引退を免れない。しかも来年以降の衆院選は、区割り変更で県内の小選挙区は1減の3選挙区になる可能性がある。今回の選挙で地盤を譲れば、竜祥氏が新しい選挙区での公認争いで現職として有利になる-という筋書きだ。
 28日の後援会会合後、竜祥氏の名前が党県連内に瞬く間に流れたが、ある有力者は「後継候補者は党が決めるのであって、世襲で決まるものではない。公募の手続きを踏まなければならない」と指摘する。加藤氏も後継については本紙の取材に明言を避けた。周辺では県議や地元出身の官僚らの名前も上がるが、選挙まで残された時間は少なく、公認を得る準備が間に合うのか不透明だ。
 後援会関係者は「私は竜祥氏を応援するが、世襲批判などで県連はもめるんじゃないか」と話している。

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