【東京パラリンピック】競泳で銀・銅獲得の富田宇宙 飽くなき向上心…大会後に挑戦したいこととは?

富田宇宙(右)は200m個メで銅メダルを獲得(ロイター)

大躍進の要因は――。競泳男子200メートル個人メドレー(SM11)決勝(30日、東京アクアティクスセンター)、初出場の富田宇宙(32=日体大院)が2分28秒44で銅メダルを獲得。26日の400メートル自由形(S11)の銀に続き、今大会2つ目のメダルを手にした。

最後の最後に意地を見せた。150メートルの通過は6番手だったが「自信はあった」と得意とする最終泳法の自由形で猛追。逆転で表彰台を勝ち取り「みなさんからたくさんのメッセージをいただいて、すごく東京パラリンピックの持つ意味や力を実感した。今日のレースはそれに報いたい気持ちで泳いだ」と神妙に語った。

強さの秘密は独自の〝メンタリティー〟にある。「とにかく僕は自分が日々成長するのを実感したいので、苦手のことをやったりとか、新しいことをやったりしたいって思いがある」。富田は3歳から水泳をスタート。高校2年時に進行性の難病「網膜色素変性症」が発覚した。

高校卒業後に一度は競技から離れながらも、2012年にパラ水泳の世界へ飛び込んだ。「水泳は得意じゃないけど、伸びしろを自分で持っているので、嫌にならない。自分に足りないものがたくさん見える。とにかく水泳がもっとうまくなりたいし、速くなりたい」との思いを胸に練習に励んできた。

その成果を大舞台で発揮。「自己ベストでメダル獲得という目標をもう一度みなさんのおかげで達成することができて、とても幸せな気持ち」と笑顔を見せた。かつて「東京が終わったら、トライアスロンとかクロスカントリーとか、いろいろマルチにチャレンジしたい」とも話していた富田。この飽くなき〝向上心〟がメダルを引き寄せた。

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