F1ベルギーGPのリスタートは「商業的な理由からではない」とドメニカリCEO。レースコントロールの判断も支持

 F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、2021年F1第12戦ベルギーGPをリスタートさせ、レースにポイントを付与したことは、商業的な件を考慮してのことではないと否定している。

 ベルギーGPの決勝レースは、数回のスタートディレイの後、まずセーフティカー先導で不完全なスタートが切られた。しかしその後3時間近くの中断を経て、レースを進める最後の試みがなされた。再度セーフティカーの先導によるものだったが、コンディションの悪化により3周後に赤旗となった。

 しかしながら、イベントが正式にレースとみなされる最少周回数を満たしたため、順位付けが行われ、ハーフポイントがFIAから付与された。表彰式が執り行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の前で“優勝”を祝った。

2021年F1第12戦ベルギーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 その後ハミルトンは、FIAのレースディレクターであるマイケル・マシがその日遅い時間にマシンをコースへ戻すことにした決定を批判し、この決定は金銭的な理由により正当化されたのだと主張した。

「僕たちはひとつの理由、ただひとつの理由によってのみ送り出された」とハミルトンはソーシャルメディアに投稿した。

「セーフティカーの後ろで2周したが、それでは順位が上がったり下がったりせず、ファンを楽しませることもないのだから、レースとは呼べない」

「単に中止にすべきだった。ドライバーたちを危険にさらすのではなくね。そして最も重要なのは、F1の中心であるファンたちに返金することだ」

2021年F1第12戦ベルギーGP 水しぶきのなかを走行するルイス・ハミルトン(メルセデス)

 しかしドメニカリは、レースがリスタートされた唯一の理由はF1が契約義務を履行するためだったという憶測に答えた。

「まったくそのような理由からではない。私は背後に商業的な議論があったのではないかという話を聞くが、それはまったく真実ではない」

「レースについては、責任というものがある。それは明確な手順であり、それらのこととはまったく関係がない」

 もしレースが適切に中止されていた場合、 フォーミュラワン・マネジメントはレース主催者から開催権料の全額を受け取るはずだったのかと質問されたドメニカリは、次のように付け加えた。

「もちろんだ。商業面への推測に関することが間違っていると考えるべきだと私が言っているのは、それが理由だ」

■「観客にとっては残念だったが、レースコントロールの判断は正しい」

 ドメニカリは、スパ・フランコルシャンの観客たちが耐えていたつらい状況と落胆に同情した。観客のほとんどは8時間以上風雨にさらされながら、正式なレースを見ることを願っていたのだ。

 しかしドメニカリは、天候が改善されるまで進行を遅らせ、コンディションが危険すぎると分かったときにレースを中止するというレースコントロールの決定も支持した。

「観客にとってはもちろん残念なことだ。ちゃんとしたレースを誰もが観たがっていたのだから」

「だが私はレースコントロールの判断は完全に正しいと考えている。レースをしたいという願いと意志があった。そして情報が来ると私はそこでの状況がどうなっているかを追った。レースを行えるほど天気が改善する可能性があったのだ」

「その後リスタートが行われ、意見は非常に明確だった。しかし反対にもうひとつの気象予報が届き、不可能であることが分かった」

「誰もが感じた落胆を考慮しても、マネジメントの点であれは正しい行いだったと考えている」

「全員の安全を考慮する必要があり、それは非常に重要なことなのだ。前にも言ったように、まず落胆したのは私だ。なぜなら私はレースを愛しているからだ。だがレースができないコンディションというものは常にある」

2021年F1第12戦ベルギーGP ケメルストレートで観戦するファン

 ドメニカリは、レース主催者のスパ・グランプリと、日曜日の雨のイベントに来たファンたちに対して何ができるかについて話し合いが行われるだろうと語った。

「主催者とともにそうしたことを話し合うことができるだろう」

「チケットを販売しているのは我々ではない。この状況下で適切な補償をしていくという観点から、何かしらの配慮がされると示すことはできるかもしれない。そうした気持ちを表すことだ」

「残念ながらレースは体をなしていなかった。チケットを買っても、こういう現実がある。結局のところ、我々は主催者とともにファンに対して最大限の配慮をすることを検討しているのは確かだ。今年起きたことを鑑みて、すでに彼らが考えているアイデアがあると思う」

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