韓国紙「外国人労働者は化学物質にさらされている」「命よりも利益と効率」

韓国の労働紙が工場現場における安全管理の劣悪さを訴えている。

韓国の毎日労働ニュースは31日、キム・ナンウ公認労務士の寄稿文『有害物質に崩れる小規模事業所労働者』を掲載し、外国人労働者らがさらされる劣悪な労働環境を告発している。

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キム労務士は、釜山地域の労働環境改善団体の一員として、昨年10月から約2カ月間、工業団地内の労働環境を把握するためアンケート調査を実施。団地内に外国人労働者が多いことからアンケートは12の言語で作成し、38の事業所・93人から回答を得た。うち6人とは面談も行った。

キム労務士は、「結果は悲惨だった」と評価している。それによると、「クロム・ニッケル・塩酸・硫酸などの人体に有害な金属・化学物質を直接扱うにも関わらず、いざ自分が扱う物質の種類が何なのか分からないと回答した労働者が全体の30%」に達したという。

さらに、「化学物質にさらされたり、爆発が発生した場合どのように対処すべきかについては全く知らなかったりしたという回答が約25%に達した」とのこと。

そして、67%に上る労働者が、「有害物質を直接扱わなくても(触らなくても)、においや煙などにさらされるしかないと答えた」とされ、「しかし、いざ、彼らに支給される保護具は、煙などの有害物質を遮断する機能がない防塵マスクなどであり、防毒マスクが支給されたという回答は約28%水準にとどまった」という実態をキム労務士は伝えた。

その結果、労働者たちは、疲労・めまい・頭痛・記憶力の低下・皮膚赤み・皮膚の斑点・発疹・かゆみ・呼吸器系の不快感・視力低下と結膜炎などを訴えているという。

キム労務士は、このような実態の背景として韓国の関連法の不備を指摘している。現行法(産業安全保健法)では、常時労働者50人未満の小さな事業所では安全管理者・衛生管理者の選任を義務として規定していないという。実際に、重大災害が発生した事業場のうち常時労働者50人未満の小さな事業所が占める割合が80%を超えるとキム労務士は述べている。

キム労務士は「私は働いている人なら誰でも、事業主からの安全性を保護される権利があると学んだ」としつつ、「ところが、現在の法律では、小さな事業所で働くという理由だけで労働者の健康権を無視しており、生命よりも利益と効率をより重要なものと考慮しているではないかという気がする」と訴えている。

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