「不本意だが…」逆転勝ちに望みつないだ“早期交代” DeNA三浦監督が語った決断

DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

打線は「やられたらやり返す」番長イズムを体現

■DeNA 7ー6 広島(31日・横浜)

混戦のセ・リーグAクラスから遠く離されているが、Bクラス同士の戦いも熱い。DeNAは31日、本拠地・横浜スタジアムで広島と対戦し、7-6で劇的な逆転勝利を収めた。先発の浜口遥大投手が3回途中4失点KOを喫したが、打線が最大5点ビハインドを挽回。ハマスタが東京五輪の野球・ソフトボール会場として使用されたため、チームにとっては6月6日以来86日ぶりの本拠地での試合だった。

早めの交代の決断が、逆転劇を呼んだ。DeNAは初回、タイラー・オースティン外野手の中前適時打で先制。しかし続く2回の守備では、浜口が先頭の鈴木を1球もストライクが入らないまま四球で歩かせ、2死後、菊池に同点中前適時打を許した。

3回にも1死から、野間をまたもやストレートの四球で歩かせる。二塁手・牧秀悟内野手の失策を挟み、3番・小園に右前へ勝ち越しタイムリーを献上。ここで三浦大輔監督は早々と浜口を諦め、2番手の進藤拓也投手にスイッチしたのだった。

「浜口はもともと多少の荒れ球が持ち味の投手だが、きょうは非常に悪かったというか、悪すぎた」とバッサリ。「ヒットは2本しか打たれていなかったが、(制球難で)チームの守りのリズム、攻撃のリズムが重苦しくなっていた。6連戦の初戦で、リリーフ陣の負担を考えると不本意だが、あそこで代えざるをえなかった」と胸の内を明かした。

浜口は打者12人に対し、10人への初球がボール。初回先頭の野間から2回の6番・曾澤まで、カウントが全て3ボールに至った。実際に与えた3四球以上に、バックの野手陣のリズムを崩していただろう。

イニング途中で救援した進藤も流れを止められず、代わり端に鈴木誠に死球をぶつけて1死満塁に。坂倉に四球、曾澤には死球を与え連続押し出し。4回にも3番手の桜井周斗投手が2点を失い、スコアは1-6となった。

エラーの牧が16号2ラン、三浦監督「反撃の口火を切り、やり返してくれた」

しかし、その裏からDeNA打線が反発力を発揮する。先頭のネフタリ・ソト内野手が広島先発の森下から来日4年目にして初めての三塁打を放ち、続く牧が左翼席へ16号2ラン。三浦監督は「牧は自分のエラーがあった中で反撃の口火を切り、やり返してくれた」と大きくうなずいた。「やられたらやり返す」はハマの番長の身上でもある。

6回には主将の佐野恵太外野手が左翼ポール際へ10号ソロ。2点を追う7回には、広島3番手の島内を攻め、宮崎敏郎内野手の左前適時打で1点差とした直後、ソトが右中間席へ値千金の逆転19号2ランを打ち込んだ。9回の守備では、守護神の三嶋一輝投手が1死満塁の絶体絶命のピンチを招いたが、坂倉を遊ゴロ併殺打に仕留め、薄氷を踏む思いで勝利をもぎ取った。

DeNAのリリーフ陣は、46試合登板の山崎康晃投手を筆頭に、44試合の砂田毅樹投手、43試合の三嶋、同じく43試合のエドウィン・エスコバー投手と、リーグ登板数ランキングの5位以内に4人が顔をそろえ、負担が大きい。疲労が蓄積しているのは間違いない。

三浦監督も今季開幕投手でもある浜口をわずか3回途中で降ろすのには、ためらいがあったはずだが、試合の流れは“生き物”。相手に傾いていた流れを挽回可能な段階で断ち切ったことが、勝因の1つと言えそうだ。

DeNAは広島と並ぶ5位タイとなり、4位・中日ともわずか1ゲーム差。セ・リーグは3位と4位の間に11ゲームの大差があり、A・Bクラスが真っ二つに分かれた状態だが、それぞれの中の順位争いは激烈だ。節目の今季100試合目に、久しぶりに“我が家”へ戻り劇的な勝利を飾ったベイスターズ。まずBクラスから抜け出し、さらに上位をうかがいたいところだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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