FIA、F1ベルギーGPでの問題点を認め、規則変更検討へ。実質レースなしのグランプリへのポイント付与に批判集まる

 FIA会長ジャン・トッドは、悪天候に見舞われたF1第12戦ベルギーGPへの対応への批判が高まるなか、レギュレーション変更について検討を始めることを明らかにした。

 ベルギーGP決勝は現地15時スタート予定だったが、雨のためディレイの判断が繰り返され、約30分後にセーフティカー先導のもとでフォーメイションラップが行われたものの、続行できるコンディションではないとの判断で赤旗中断となった。長時間の待機時間を経て、18時17分にセーフティカー先導でレースがスタート、しかし3周目に入ったところで、再び赤旗が出され、その後、レース再開せずとの発表が行われた。

2021年F1第12戦ベルギーGP決勝

 F1競技規則では、「リーダーが2周以下の周回にとどまった場合はポイントは付与されない」「リーダーが2周よりも多い周回を走り、元々のレースディスタンスの75パーセント未満しか走行しなかった場合には、ハーフポイントが付与される」と定められている。

 そのため、ベルギーでは、セーフティカー先導で、一切順位の変動なく走行したにもかかわらず、トップ10のドライバーにハーフポイントが与えられた。

2021年F1第12戦ベルギーGP表彰式 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 ドライバーやチームは、レースを実施できるコンディションではなかったため、赤旗終了にするという判断を支持している。しかし、その判断が非常に遅く、観客が長時間待ち続けなければならなかったこと、レースを公式に成立させるためだけにコンディションが改善していないにもかかわらず2周を走らせたという疑い、実質的にレースは行われていないにもかかわらずポイントを付与したことなどを、一部ドライバーが強く批判し、チーム側からも、FIAやF1の対応に批判的なコメントがなされている。

 そうしたなか、トッド会長は、8月31日、声明を発表、将来、同様の状況が繰り返されないよう、レギュレーション変更を行うことを検討すると認めた。

「今年のベルギーGPはFIA F1世界選手権に途方もない困難をもたらした」とトッドは声明のなかでコメントしている。

「予報士たちによって予想された天候上のチャンスが一日を通して現れなかった。その後、小さなウインドウが現れ、その際にレースを開始する試みがなされたが、コンディションはすぐにまた悪化した」

「マシン後方に水しぶきが上がり、視界不良に陥ったため、ドライバー、マーシャル、そして雨のなか何時間も待ってくださった勇敢な観客の皆様にとって十分に安全なコンディションでフルレースを行うことができなかった。観客の皆様に対して大変申し訳なく思っている」

2021年F1第12戦ベルギーGP決勝 スタートを待ち続けた観客

「これは全ステークホルダーが認めていることだ」

「FIAスチュワードは、国際モータースポーツ競技規則の規定に基づき、競技を中断した。それは、より多くの時間を稼ぎ、それにより、ファンに対してF1レースを提供する可能性を増やすためだった。しかしこういった努力にもかかわらず、セーフティカー先導ラップの後、レースをスタートすることができず、現行のレギュレーションが正しく適用された」

「優れた仕事をしてくれたFIAチーム、ASN、そしてすべてのボランティアの皆様に感謝し、彼らを称えたい」

「将来に向けて何を学べるのか、何を改善できるのかを調べるために、FIAはF1およびチームとともに、レギュレーションを慎重に再考察する。ポイント配分のテーマを含め、調査結果は、10月5日に実施される次回F1コミッション会合の議題に加える」

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