〈新型コロナ〉迅速な対策へ専門見地 上越市専門家会議が初会合

 新たに設置された「上越市新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が8月31日夜、同市役所木田庁舎で開かれた。

専門家らが各分野の現状を報告。情報共有を図った

 専門的な見地から同感染症に係る市の現状について分析を行い、迅速かつ的確な対策の推進に結び付ける狙い。委員は上越医師会の林三樹夫理事(同会議座長)、上越地域振興局健康福祉環境部の山﨑理医監、上越地域医療センター病院の古賀昭夫病院長、市国民健康保険清里診療所の畠山牧男所長、上越地域消防局の池田聡局長で構成する。

 同日はワクチン接種や医療現場の状況、感染者の推移などを市や委員が報告した。本年度は5月と7、8月に多数の感染者が発生。上越保健所管内の感染者(届け出)数は、5月が46人、7月が36人、8月が100人だった。年代別割合を見ると、5月2~15日は60~70代が34%を占めたが、7月28日~8月10日は5%、8月15~28日は7%に減少。山﨑委員は「スピード感ある高齢者へのワクチン接種によるものと認識している」と話した。

 一方で5月2~15日は14%だった40~50代が7月28日~8月10日は45%、8月15~28日は42%を占めるなど、アクティブ層への感染拡大が進んでいる現状が示された。畠山委員は「(流行中の)デルタ株は空気感染の要素があると言われている。不織布マスクの着用や換気など、原点に返って対応を」と呼び掛けた。

 市内における感染者の救急搬送について池田委員が報告。1月から現在まで6人を医療機関に搬送し、うち2人が転院搬送されたため出動件数は計8回。出動先は自宅が4人、うち2人が自宅療養者で、2人が医療機関の間の搬送。救急搬送困難事例は発生していないという。

 古賀委員は「コロナ禍がいつまで続くのか、先が見えない不安感がある。今後はいかにコロナと共存していくかを考える必要がある」、小児科医を務める林座長は「12~15歳のワクチン接種率は約53%で、他の年齢層と比べ低い現状。その理由としてファイザー社製ワクチンの供給減、保護者の接種への不安感がある。市は正しい啓発を行い、若年層をはじめ(感染の)総数を上げている年齢層の発症を防いでほしい」と要望した。

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