【ノア】思い出は忘れ去られるが記録は不滅だ! 武藤敬司12日開幕N-1で偉業狙う!

得意のポーズを決めた武藤

“プロレスリングマスター”こと武藤敬司(58)が、前人未到の記録達成を誓った。2月にノアのGHCヘビー級王座を巻き主要3団体王座を戴冠する「グランドスラム」を果たしたが、次は「N―1 VICTORY」(12日、東京・後楽園ホールで開幕)を制し3大ベルト&リーグ戦制覇の偉業を狙う。その裏には、ファンの記憶に残るファイトを残してきた天才ならではの思いがあった。
武藤は新日本プロレスのIWGPヘビー級王座、全日本プロレスの3冠ヘビー級王座に続き、最後に残されたGHC王座を2月に戴冠。これで佐々木健介、髙山善廣に続く史上3人目の快挙を成し遂げたが、まだまだこれだけでは終わらない。次に狙うのは3団体のシングルリーグ戦制覇だ。

すでに新日本の「G1クライマックス」を1回、全日本の「チャンピオン・カーニバル」を3回制しており、残るはノアのリーグ戦だけだ。「N―1」の前身となる「グローバルリーグ戦」時代から優勝経験はなく、武藤は「ベルトもリーグ戦も全部取れば史上初なんだよ。俺はどうしても記録を残したいんだよ。だから絶対に優勝したい」と語気を強める。

その理由は、ただ「史上初だから」だけではない。ファンの記憶に残る名勝負をいくつも繰り広げてきた達人だからこそ痛感していることがあるからだ。

「思い出って、どうしても時と共に忘れ去られちまうものなんだよ。いくら記憶に残るっていう試合をしても。ジェネレーションが変われば、いくら(アントニオ)猪木さんや(ジャイアント)馬場さんでも忘れられちまう。ただ、記録と経歴はずっと残るから。たとえ忘れられたとしても、俺はレスラーとして生きた証しを刻みたい」

十分すぎるほどの雄姿を刻んだからこそ、次は時がたっても風化しない“前代未聞の大記録”が欲しいというわけだ。天才は「永田(裕志)も3団体のリーグ戦とIWGP、GHCは取ってるけど3冠だけは取ってねえはずだ。そして、記録っていう意味では東スポのプロレス大賞も一つの記録だしな。それを狙うためにもN―1は大切になってくる」と不敵に笑った。

すでに優勝への道筋は見えている様子。「一番最初(12日の杉浦貴戦)がヤマ場だよ。その先のことは一切考えてない。杉浦にどう勝つか。そこが天王山だと思ってる」。数々の記録の上にそびえ立つ金字塔を打ち立てることはできるか。58歳の新たな挑戦がスタートする。

© 株式会社東京スポーツ新聞社