ディクソン、MotoGPデビュー戦で見事完走「すべてのことに強い衝撃を受けた」/第12戦イギリスGP

 8月29日、シルバーストン・サーキットで開催された2021年MotoGP第12戦イギリスGPでMotoGPクラスデビューを果たしたジェイク・ディクソン(ペトロナス・ヤマハSRT)。初めて乗ったヤマハYZR-M1や最高峰クラスのレースをどのように感じたのだろうか。

 フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が左膝の怪我で欠場しているため、第12戦イギリスGPでは本来であれば2021年よりヤマハ・ファクトリー・レーシングのMotoGPテストライダーを務めているカル・クラッチローが代役参戦する予定だった。

 しかし、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がヤマハとの契約を即時終了させたことから第12戦イギリスGPでは、クラッチローがビニャーレスのシートに着いた。

ジェイク・ディクソン(ペトロナス・ヤマハSRT)/2021MotoGP第12戦イギリスGP

 そのため、モルビデリの代役はMoto2クラスに参戦しているディクソンが急きょ務めることになり、母国でMotoGPデビューを果たした。

 第12戦イギリスGPの金曜日に初めてヤマハYZR-M1を駆ったディクソン。FP1の45分間はマシンに慣れるために時間を費やし、着実な進歩を見せてラップタイムを更新して2分03秒939で21番手につけた。FP2ではさらに1.3秒も更新し、2分02秒601のベストタイムで総合21番手となった。

カル・クラッチロー(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、ジェイク・ディクソン(ペトロナス・ヤマハSRT)/2021MotoGP第12戦イギリスGP

「素晴らしい一日、素晴らしい経験になったよ。とくにFP1は、吸収すべきことがたくさんあり、いろいろなことが起こった」とディクソン。

「そのため1ラップ目はとても遅かったね。ブレーキのタイミング、加速のタイミング、すべてのことが、今までの自分の経験とは異なっていた。FP2になると、マシンのスピードを楽しめるようになり、いろいろなことをコントロールできるようになってきた」

「そのなかでスピードはもちろん、タイヤから得られるグリップによって、どこまでバンクできるのかなど、すべてのことに強い衝撃を受けた。午後は1.3秒も短縮することができたので、明日もセッションごとに前進していきたいと思っている」

ジェイク・ディクソン(ペトロナス・ヤマハSRT)/2021MotoGP第12戦イギリスGP

 予選日となる土曜日には、FP3で前日のベストタイムに迫っていく。しかし、16コーナーで初の転倒を喫して、約20分間にわたりコースを離れることとなった。

 21番手でセッションが終了したが、それでもQ1セッションでは大幅にタイムを短縮。自己ベストを2秒近く上回る2分00秒869を記録してセッション11番手、21番グリッドを確保した。

「テストのときのように、マシンに慣れるための時間を十分に取れれば良いが、今回は短時間で学ばなければならないことが多過ぎて苦戦している」

「それでも今日は、フィーリングが良くなってきた。FP3は好調だったが転倒してしまい、そのあとは、セッティングの異なるスペアマシンで走らなければならなくなった。それも悪くはなかったけど、本当ならもう少しペースを上げられたはずだ」

「FP4では、もう一歩、前進し、Q1セッションでは、さらに1.3秒も短縮することができた。このときも、もっと行けたはずだけど、ミスをしてしまった。今もまだ、1ラップごとに学んでいる状態だから、決勝はかなり難しいものになると思う。それでもとても楽しみ。大勢のファンが素晴らしいサポートをしてくれているし、母国でこのチャンスに恵まれ、最高の気分だ」

2021MotoGP第12戦イギリスGP

 レースウイークを通してポジティブなコメントをするディクソン。日曜日の決勝では好スタートを切り、序盤は好調ペースを見せたが、気温と路面温度の低いシルバーストンでグリップ不足を経験した。それでも最後までミスなく走り切り、19位で見事完走を果たした。

「ウイークを通じでフィーリングが良く、今日もとても好調で、とくに午前中のウォームアップでは非常にいい走りができた。ペースでは後方グループのライダーたちについて行けると感じた」

「でも、決勝では同様のフィーリングをつかむことができず、グリップの感覚も変化していた。このことはとても残念だ。できればもう少し上の順位を目指し、もっと多くを学びたかったと思っている」

「それでも、とてもいい経験になったことは間違いない。チームの仕事ぶりは本当に素晴らしく、おかげでセッションごとに前進することができた。しかし、決勝は僕の手に負えるものではなかったね」

「僕自身、良い仕事ができたと感じている。わずかな周回数のなかで、予選ではトップに2秒差まで近づくことができた。イギリスの大勢のファンが毎ラップ、声援をおくってくれたおかげで、とても気持ちよく走ることができた」

「感謝の気持ちは言葉では十分に伝えきれない。満員のシルバーストンを見ることができてうれしかったし、その雰囲気はセンセーショナルと言えるほど素晴らしかったね。最高のフィーリングだ」

ジェイク・ディクソン(ペトロナス・ヤマハSRT)/2021MotoGP第12戦イギリスGP

 ディクソンは9月10~12日にスペインのモーターランド・アラゴンで開催される第13戦アラゴンGPでもモルビデリの代役を務める予定だ。普段Moto2マシンを駆っている彼には、貴重な経験となるだろう。

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