【東京パラリンピック】競泳・鈴木孝幸が銀 全5種目でメダル 唇かむも「うれしく思う」

男子50メートル自由形(S4)に臨んだ鈴木は銀メダルを獲得(ロイター)

東京パラリンピック・競泳競技(2日、東京アクアティクスセンター)、男子50メートル自由形(S4)は、鈴木孝幸(34=ゴールドウイン)が37秒70で銀メダルを獲得。自身が出場した全5種目でメダルを手にした。

午前中の予選では、全体1位となる38秒25をマーク。「まあまあぼちぼちかなと。体の疲れも抜けたし、50メートルに向けて体にちゃんと刺激を与えて、瞬発力を出せるようなトレーニングをしてきた」と手応えを口にした。

決勝のレースでは、スタートこそ「滑ってしまったので、しまったと思った」と出遅れたが「諦めずに全力で泳ごう」と力強い泳ぎを披露。後半は金メダルのアミオメル・ダダオン(イスラエル)と激しいトップ争いを演じた。惜しくも敗れたが、大会前に掲げた「出場全5種目でメダル」の目標を達成した。

レース後には「金メダルを取りたかったのが正直なところ。ちょっと悔しいが、全種目でメダルが取れたので、そこの目標が達成できたのはうれしく思う」と振り返った上で「50メートルならではの難しさはあったが、しっかり7秒台を出せたし、スタートで失敗した割には、そのあとのノビは良かったと泳いでて思った」と神妙に語った。

静岡県出身の鈴木は、先天性四肢欠損で両大腿と右腕のヒジから下がなく、左手にも障がいがある。15歳で本格的に水泳を始めると、2004年アテネ大会から5大会連続でパラリンピックに出場。前回のリオ大会ではメダルなしに終わり「潮時だと思っていた」と引退の2文字が頭をかすめたこともあるが「改善点があるなって気付いた」と基礎から見つめ直し、自国開催の大一番で好成績を残した。

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