失速の虎を〝秋男〟藤浪が救う!先発&中継ぎどちらも出撃OK

2日の先発が流れた藤浪。巨人との首位攻防戦はスタンバイOKだ

再び「ミスターオクトーバー」になれるか。3日から聖地・甲子園に首位・巨人を迎え、首位攻防3連戦に臨む阪神で2日に先発予定だった藤浪晋太郎投手(27)が登録された。現在のチーム事情を鑑みると、今後は先発・中継ぎとどちらの需要もありそうな気配。昨季も秋口から「藤浪株」が高騰しただけに〝2年連続〟となれば、優勝戦線に臨むチームの起爆剤にはもってこいの存在となる。

2日の中日戦は雨天中止となり、8月19日DeNA戦以来の先発機会は水に流れた。とはいえ、一軍登録の公示手続きは完了しており、3日の首位攻防・巨人3連戦から「中継ぎ要員」としてのスタンバイも可能。中止決定直後の矢野燿大監督(52)も「今すぐにっていうのは、ちょっと決めにくい」と明言は避けたが今週末以降、藤浪は先発・中継ぎとどちらも出撃可能な状況となっている。

この日の水入りで今後の藤浪の起用法がどう変化するか。優勝争いのなかで迎えることが確実な今季の残り42試合、投手編成のなかでも大きなポイントになる可能性を秘めた判断となりそうだ。というのも藤浪の起用法ついては、既存の概念にとらわれない方がかえって好結果を生み出す事例があり、しかもチームの危機を救う働きもみせている。

昨年の秋口に起きた〝事件〟がまさにそれだ。昨年9月25日、チーム内で新型コロナウイルスの集団感染が発覚。選手10人を抹消し、急きょ9人を二軍から昇格させる想定外の事態が発生。中でも中継ぎ投手5人が含まれ、当日の試合決行すら危ぶまれたほどで、そんなブルペン陣の崩壊危機を救う存在になったのが、藤浪でもあった。

その時点まで先発要員として一軍再昇格の準備を進めていたが、この事態を受け、中継ぎとして一軍に復帰すると8試合連続無失点登板など13試合で防御率2・35とフル回転し、僅差の接戦を支えるセットアッパーとして仁王立ち。10月下旬に先発に再転向するまでの約1か月の間に7ホールドを荒稼ぎし、自慢の剛速球もこの間に自己最速更新の162キロをマークするなどインパクトある輝きを披露した。

昨秋ほどではないにせよ、現在の中継ぎ投手陣の台所事情も余裕がある状況ではない。特に守護神・スアレス、8回のセットアッパー・岩崎へとつなげる「7回」を任せる男がいまだに不在で、チームの急所となっている。後半戦開幕からこのスポットに及川や馬場、小川などさまざまな面々を起用しているが、決め手に欠く状況。藤浪本人は変わらず「先発志向」を持ちつつも、V争いの渦中に身を置く以上「チームが求める役割」で腕を振ることに異論はないだろう。

昨年に引き続き今年も藤浪が〝秋男〟になって、インパクトある働きでチームを鼓舞できれば、16年ぶりの悲願達成への見通しも明るくなるのだが…。

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