【競泳】出場全5種目メダル獲得の鈴木孝幸が伝えたい思い「スポーツを見るように観戦してもらいたい」

競泳男子50メートル自由形(S4)で銀メダルを獲得した鈴木孝幸(ロイター)

これぞアスリート魂だ。東京パラリンピック競泳男子50メートル自由形(S4)決勝(2日、東京アクアティクスセンター)で鈴木孝幸(34=ゴールドウイン)が37秒70で銀メダル。大会前に「出場全5種目でメダル」を公言していた通り、今大会5個目のメダルを手にした。

有言実行の泳ぎだった。鈴木は「滑ってしまった」とスタートに失敗したが「諦めずに全力で泳ごう」と中盤以降は伸びのある泳ぎを見せ、2位でフィニッシュ。「金メダルを取りたかったのが正直なところ。ちょっと悔しいが、全種目でメダルを取れたので、そこの目標を達成できたのはうれしい」と振り返った。

今大会2つ目の金メダルとはならなかったが、パラ競泳に新たな歴史を刻んだ。鈴木には今大会を通して伝えたい思いがあった。かつて本紙に「パラリンピックはスポーツだという認識。自分はスポーツ選手だという認識で頑張っているので、みなさんにはスポーツを見るようにパラリンピックも観戦する、スポーツの選択肢に入れてもらえたらうれしい」と話し、五輪と区別される現状に危機感をのぞかせていた。

アスリートとして結果を残す必要がある――。リオ大会ではメダルを逃しながらも「改善点があるなって気づいた」と基礎から見直して、この5年間で大きく成長。「多くの日本人選手が活躍して、パラリンピックに興味を持ってくださる方が増えてくれたらうれしい」と言い、努力を続けてきた。新型コロナウイルス禍で無観客開催となったが、鈴木の思いはきっと多くの人に届いたことだろう。

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