【東京パラリンピック】母に内緒で始めた自転車「神が与えた試練」乗り越えた杉浦が2冠達成

杉浦佳子(ロイター)

東京パラリンピック・自転車競技(3日、富士スピードウェイ)、女子個人ロードレース(C1~3)が行われ、杉浦佳子(50=楽天ソシオビジネス)が1時間12分55秒(速報値)で優勝。個人ロードタイムトライアル(C1~3)に続き、2冠を達成した。

静岡県出身の杉浦は、2016年4月に自転車のロードレース中に転倒。頭蓋骨などを粉砕骨折した。高次脳機能障がいと右半身にまひが残ったものの、17年から日本パラサイクリング連盟の勧めで競技を本格的にスタート。当初は母・良子さんに伝えておらず「成績が出るようになってから『実はやってるよ』と報告があった」と振り返る。当然、転倒のリスクもあるが「自分で考えて自分でやろうとしていることだから」と娘の背中を押した。

今大会はかねて金メダル候補として期待されてきた。しかし、昨年夏には練習中に体調を崩し、引退を考えたこともある。5月には左股関節唇の損傷が判明。思うように練習を積めない時期もあったが「神が与えた試練」と前を向いた。そして、8月31日の女子個人ロードタイムトライアル(C1~3)で男女を通じて日本勢最年長となる金メダルを獲得。「最年少記録は更新できないけど、最年長記録はまた更新できる」と語っていた杉浦がまた1つ新たな歴史を刻んだ。

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