「成長へ前向きな動き」 片岡剛士・日銀審議委員 長崎県政財界代表と懇談

金融経済懇談会後、オンラインで本県経済の見通しなどを語る片岡委員=日銀長崎支店

 日本銀行主催の金融経済懇談会が2日、オンラインであり、日銀政策委員会の片岡剛士審議委員と長崎県の政財界代表が意見を交わした。終了後、会見した片岡委員は本県経済の中長期的な見通しについて「人口減少や造船業を巡る環境変化はあるが、産学官金の緊密な連携や将来の成長につながる前向きな動きが複数ある」と期待を寄せた。
 政策委員会(総裁、副総裁2人、審議委員6人)は日銀の最高意思決定機関。懇談会は、地域の実情を聴取し、金融政策に反映させる目的で全国各地で開催。本県では2年ぶり。新型コロナウイルス対策でオンライン形式とした。片岡委員は三菱UFJリサーチ&コンサルティングを経て、2017年から現職。
 懇談会は非公開。中村法道知事や長崎商工会議所の宮脇雅俊会頭ら8人が出席。片岡委員によると、新型コロナの経済的影響のほか、西九州新幹線などの大型プロジェクトの進展や半導体、航空機などの成長産業の振興などが本県側から説明されたという。
 片岡委員は本県経済の現状を「新型コロナの影響で外食などのサービス消費の下押し圧力が強く、観光も低水準」「半導体関連企業の受注が好調で、製造業全体が持ち直している」と指摘。「ワクチン接種の進捗(しんちょく)で感染症の影響が和らぐと、持ち直し基調をたどる」との見通しを示した。

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