韓国紙「朝鮮人強制労働は当時朝鮮総督府も反対」「最小限の福祉もなく暴動恐れ」

韓国メディア「オーマイニュース」は2日、外村大東大教授の『朝鮮人強制連行』(岩波新書/2012)の韓国語版(2018)の書評を掲載した。

書評を書いたパウ・ソンウ氏は、日本統治時代に実施され、その賠償を巡って現在も裁判が続くこの問題を同書で辿りつつ、現代の外国人労働者問題にも繋がる点について述べている。

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パク氏は、「日本人学者が深い研究の末に発刊した《朝鮮人強制連行》は、読む価値が十分な本である」とし、「同書は日帝が朝鮮人をどのように強制的に連行したのかをくまなく暴くだけでなく、現在まで、その問題意識を伸ばすことで、朝鮮人強制連行の解決がいま直面する社会問題の解決にも接していることを力説する」と伝えた。

パク氏は、朝鮮人強制動員と日本人の徴用の差が、法的な動員かそうでないかにあることを知る。1939年から法的に徴用された日本人と異なり、朝鮮人の場合はほぼ強制的に連れて行かれたり、脅迫を受けて泣く泣く引いていかれたりする場合が大半であったこと。

書影:外村大著『朝鮮人強制連行』(2012/岩波書店)

そして、日本人徴用者の場合は、朝鮮人に比べ炭鉱や土建工事のように険しい職場に行かせず、住居の近くの工場などに融通を効かせ、その家族にも援護費が支給されたが、「朝鮮人は同時期の日本人に比べてより深刻な強制連行を受けたにもかかわらず、日本人が受ける恩恵の一部さえ受けなかった」と伝えた。

パク氏は、朝鮮人徴用には当時の朝鮮総督府でさえ反対していたことも知る。もちろんこれは、朝鮮人のためではなく、安定した朝鮮統治のためのものであり、「最小限の福祉もない強制連行は、残りの家族の怒りを醸成し暴動も起こる可能性があった」「それでも朝鮮人は徴用の対象から外れたまま法の網の穴から強制的に連行された」と伝えている。

そして1944年9月になって、ようやく日本政府は法的な徴用を朝鮮にも許した。「つまり朝鮮人が強制的に動員されることが法的に認められたということ」であり、したがって、それに伴う待遇や福祉の対象になるが、議論だけに終わり、やはり「補償を受けた朝鮮人は一人もいなかった」という。

パク氏は、著者が本の最後で、朝鮮人の強制連行が過去の出来事に留まるのではなく、現在の外国人労働者の問題にも代入することができないだろうかと主張する点に注目している。

当時日本は、日本人が避ける炭鉱や土建業に朝鮮人を強制連行しながら、同時に、彼らは、日本の社会に同化されることを恐れていたこと。朝鮮人という「不良集団」が純粋な日本社会を乱すれるかという恐怖だったこと。そして、朝鮮から代替できる労働者はいくらでも連れてこれたことから、職場の安全や環境を改善する意志もなかったこと。

パク氏は、これらが「今日の3D(3K)業種と似ていないだろうか」とし、「外国人不法滞在労働者と朝鮮人強制連行者の境遇と社会が眺める視線は似ていないか」と問うた上で、強制労働に対する認識と解決がより正しい方向に向かうことを願うと述べている。

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