阪神・佐藤輝、不振脱出の鍵は「実戦の打席数」 OBは“10日間限定2軍”を提言

阪神・佐藤輝明【写真:荒川祐史】

上段からグリップの位置を下げたフォーム改造も迷路に

■阪神 7ー3 巨人(3日・甲子園)

阪神は3日、本拠地・甲子園球場で行われた巨人戦で3点差を跳ね返し7-3と逆転勝ち。首位の巨人に肉薄した。しかし、黄金ルーキーの佐藤輝明内野手は4試合連続でスタメンを外れ、6回に代打で登場するも空振り三振。自己ワーストを更新する28打席連続ノーヒットとなった。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「佐藤輝は1打席で結果を出すタイプではない。代打で使い続けるくらいなら、最短の10日間限定で出場選手登録を抹消し、2軍で数多く打席に立たせた方がいいのではないか」と提言する。

なすすべもなかった。阪神は0-3で迎えた6回、先頭の大山がこの日のチーム初安打となる中前打を放つと、続く代打・糸井が右中間を深々と破る適時二塁打。イケイケムードの無死二塁で、佐藤輝が西の代打に起用された。しかし、巨人先発の戸郷に対し、高めのストレートを2度空振りして追い込まれ、3球目のフォークはファウルにしたが、4球目の外角低めのフォークにバットが空を切り、三振に倒れた。スタメン落ちした最近4試合は、いずれも代打で出場し1打席ずつ立ったが、全て三振に終わった。

「あくまで技術的な問題だと思います。今の佐藤輝は、軸足にタメがなく、投手方向へ体が寄っていってしまうので、速球には差し込まれ、ボールになる変化球にはバットが止まらない」と野口氏は指摘する。

代打成績は7打数1安打「1打席で勝負するタイプではない」

佐藤輝はペナントレース前半終了後、“上段”に構えていたグリップの位置をやや下げ、コンパクトな打撃フォームに改造。当初は中断期間中のエキシビションマッチで5本塁打を量産し、ハマったかに見えたが、後半開幕後に迷路に陥った。野口氏は「誰でも打撃フォームを変えたばかりの時は、結構打てるものなのですが、長続きすることはほとんどありません。体になじんでいないからです。ですから、フォームを変えるのならシーズンオフにするべきだと、私は考えています」と言う。

これまで1軍の全102試合に出場している佐藤輝だが、代打成績は7打数1安打(打率.143)4三振。野口氏は「今の佐藤輝に必要なのは、適切なアドバイスと実戦の打席数。もともと、3打席3三振していても、最後の4打席目に決勝本塁打を打つかもしれない魅力を持った選手です。代打では持ち味が生きない」と分析。「10日後には必ず戻す──と言い含め、2軍で武者修行させるのも1つの手だと思います」と見ている。

1試合に1打席、あえなく三振する姿を小出しに見せられても、ファンは納得できない。試合開始から終了まで、サトテルの一挙手一投足を楽しめる日々が早く戻ってきてほしい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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