【新日本】棚橋が飯伏下しUS王座V1 「いつもそこにいて『おかえり』と言う係、俺がやります」

飯伏(上)にドラゴンスープレックスを放つ棚橋

新日本プロレス4日の埼玉・メットライフドーム大会で、IWGP・USヘビー級王者の棚橋弘至(44)が飯伏幸太(39)の挑戦を退け初防衛に成功した。

棚橋は8月14日(日本時間15日)の米国・ロサンゼルス大会でベルトを奪取。挑戦者として誤嚥性(ごえんせい)肺炎で欠場していた飯伏を指名し、メットライフドームのメインで激突した。

欠場明けとは思えぬ飯伏の躍動感あふれる猛攻に苦しんだ。トップからの三角飛びケブラーダを決められると、エルボーの打ち合いでダウンを奪われる。それでもカミゴェは許さず、ツイスト&シャウトで反撃に転じた。

スリングブレイドから狙ったハイフライフローをヒザで迎撃され、そのままカミゴェまで浴びた棚橋は再び劣勢に。ボマイェからジャンピングニーで畳みかけられるが、正調のカミゴェにカウンターのスリングブレイドを発射し、再逆転に成功する。ドラゴンスープレックスからハイフライアタックを決めると、最後はハイフライフローで激闘に終止符を打った。

雷鳴が鳴り響くメットライフドームのリング上でエアギターパフォーマンスを行った棚橋は代名詞の「愛してま~す!」の絶叫で2連戦の初日大会を締めくくった。2014年8月のメットライフドーム大会はジェフ・ジャレットのギターショットでKOされた思い出しか残っていないという棚橋だが、7年後に晴れてタイトルマッチで勝利を収め「これで『棚橋疲れない説』が現実味を帯びてきましたね」と笑みを浮かべた。

復帰戦の相手を務めた飯伏にはリング上から「おかえり」と声をかけた。棚橋は「ファンの皆は飯伏がどういう状態で帰ってくるか気になってたと思うし。俺も情報が入ってこなかったんで。…三味線かましやがったな。全然変わってないじゃねえか。だから素直に『おかえり』と。いつもそこにいて『おかえり』って言う係、もうちょっと俺がやりますよ。なんでかって言うと、ファンの皆さんが安心して(プロレスの会場に)戻ってきたときに『おかえり』と言いたいから」と団体の大黒柱としての決意を表明した。

長引くコロナ禍の影響もあり、この日の動員は7年前のメットライフドーム大会の約9分の1となる2095人にとどまった。棚橋は「まだ先になるけど、みんな、それぞれの生活。それぞれの目標に向かって、頑張って行きましょうよ。なんか、ちょっとしたキッカケでいいから、棚橋なにしてんのかな、とか私そういえばプロレス好きだったなとか…、思い出してもらってね。そこには棚橋がいますから」と時折涙声になりながら、戦い続けることを誓った。

苦境の時こそ真価を問われるエースが、唯一無二の存在感を示した大一番だった。

© 株式会社東京スポーツ新聞社