残り38試合で首位と5ゲーム差… 鷹・工藤監督が思い描く“勝負所”はいつ?

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

4日のオリックス戦に大勝して首位と5ゲーム差としたソフトバンク

■ソフトバンク 11ー4 オリックス(4日・PayPayドーム)

ソフトバンクは4日、本拠地PayPayドームでのオリックス戦に11-4と大勝した。1点ビハインドの5回に甲斐が逆転の適時打を放つなど一挙8得点の猛攻。6月5日の阪神戦(甲子園)以来、今季3度目となる2桁得点で首位オリックスを破った。負けるか引き分けで自力優勝の可能性が消滅する一戦だったが、これを阻止し、首位との差を5ゲームに詰めた。

初回に柳田の25号ソロで先制したソフトバンクだったが、先発の石川が2回、頓宮の犠飛、若月の適時二塁打で試合をひっくり返された。打線も、オリックス先発のスパークマンの前に、4回まで柳田のソロの1安打のみに抑え込まれ、嫌な空気が本拠地に漂った。

これを払拭したのが5回だ。中村晃、リチャードの連続四球、上林のバントが内野安打となって無死満塁とすると、甲斐が中前に逆転の2点適時打。牧原大、デスパイネにも適時打が飛び出し、この回2打席目となった中村晃は4号2ラン。打者一巡の猛攻で、今季最多の1イニング8得点を奪って勝利を手繰り寄せた。

2年連続のリーグ優勝、5年連続の日本一を目指している王者。だが、この試合を終えて44勝44敗17分けの勝率5割。3位の楽天と1.5ゲーム差の4位に沈んでいる。クライマックスシリーズ出場圏外に位置する苦しい状況にあり、シーズンも残り38試合という終盤に差し掛かってきた。

なかなかエンジン全開とならない今季。試合数が着々と減っていく中で、工藤公康監督の思い描く“勝負どころ”は一体どこにあるのか? この日の試合前、指揮官はこう語っている。

工藤監督が待ち望む森、モイネロ、岩嵜の1軍復帰

「僕が考えているのは後ろの3人が戻ってくること。打線的にはグラシアルが戻ってくるだけで変わってくる。そういう時にみんなの安心感というか『自分がやらなきゃ』というところから『次へ次へ』という気持ちが強くなるでしょうから。それがチームかなと思うので。我慢するところは我慢し、耐えるときは耐えてやっていかないと。いまがそういうときです。勝った負けたはあると思いますが、その中で39試合の中でどう頂点を目指すか」

後ろの3人とはもちろん守護神の森唯斗、セットアッパーのモイネロと岩嵜翔の3人だ。チームにとって不可欠な「勝利の方程式」がそっくりそのまま離脱している現状はどうしても苦しい。ここまで奮闘してきた若いリリーフ陣も、ここにきて綻びが見え始めてきている。勝負の終盤戦、オリックスを追いかけ、白星を積み重ねていくためには、鉄壁のリリーフ陣が欠かせないのだ。

守護神の森はこの日、ウエスタン・リーグの広島戦で1イニングを無安打無失点に封じた。登板後の状態を確認し、問題なければ、週明けにも1軍に復帰できる見通しだ。岩嵜も近く2軍戦で復帰登板する予定。モイネロも復帰への階段を上ってきている。グラシアルの復帰時期だけは未知数ながら、救援陣を整備できれば、との思惑が指揮官にはある。

残りは38試合。首位オリックスとは5ゲーム差。苦しい状況であることは間違いないが、指揮官は試合前に「39試合『も』あると思うのか、39試合『しか』ないと思うのか」とも語っている。百戦錬磨の指揮官が思う勝負どころはまだ先に……。まだ諦めるには早すぎる。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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