【インタビュー】長崎IR整備 地元調達100%目指す CAIJの林明男代表取締役

「IRの整備はハウステンボスとの調和を重視し進める」と語るCAIJの林代表取締役=長崎空港

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を佐世保市のハウステンボス(HTB)へ誘致する計画について、県はIRの建設と運営を担う事業予定者に、オーストリア国有企業傘下の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)を代表とするグループを選定した。CAIJの林明男代表取締役(59)が本紙のインタビューに応じ、構想などを語った。

 -事業者選定審査で何が評価されたと思うか。
 私たちはオーストリアの国有企業「カジノオーストリア」を中心に、世界でカジノを開設してきた。厳格な基準を設けて安定的に事業を継続し、地域に利益を還元する「安心感」が認められたのではないか。
 1976年にはオランダでのカジノ合法化を全面支援した。長崎も出島などを通じ、オランダと深い関係を持つ。オランダがテーマのHTBへの進出は、長崎と私たちに共通する“DNA”が引き寄せた運命だと感じている。

 -どのような企業が参加するのか。構想の目玉は。
 国内外の事業者と協議を詰めており、現時点で企業名は明かせない。設計は世界的な建築家の隈研吾氏にも依頼した。
 特徴的な施設の一つには、医療と観光を融合した「メディカルモール」がある。予防、治療、研究を柱とし、がん医療などの最先端技術を提供する。長崎大など実績がある大学病院ともタッグを組みたい。

 -地域経済との連携は。
 これから地元企業との協力態勢の構築を本格化させる。早急に県内拠点を設け、開かれた形で進めたい。IRの運営に必要な物資は地元調達100%を目指す。雇用面では、教育機関とも連携して人材育成に力を入れたい。

 -HTBとの共存はできるのか。
 IRはHTBの一部(約31ヘクタール)に整備する予定で、強力なパートナーシップがないと成功しない。経営トップが協議する場を設け、さまざまな領域で緊密に連携したい。HTBとの調和を重視し、既存のホテルヨーロッパや迎賓館は改修して活用する。パレスハウステンボスも美術館として維持したい。

 -ギャンブル依存症などを懸念する声は根強い。
 オーストリアは国を挙げて懸念事項の対策に取り組み、長年の経験で培ったプログラムを持っている。みなさんの不安を払拭(ふっしょく)できるよう丁寧に説明していく。
 -国が認定するIRは最大3カ所。見通しは。
 長崎県は他の地域と比べ、議会などの理解が進み、大きなアドバンテージがある。九州や長崎の魅力を世界に発信するIRは地方創生につながるとアピールし、認定を勝ち取りたい。

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