【新潟記念】マイネルファンロン波乱V 手塚師も舌を巻いた〝デムーロ・マジック〟

M・デムーロの好騎乗が光ったマイネルファンロン(東スポWeb)

5日に行われたサマー2000シリーズ最終戦・GⅢ新潟記念(芝外2000メートル)は、12番人気の伏兵マイネルファンロン(牡6・手塚)が勝利。後方追走から直線は大外に進出、力強く伸びて差し切った。19年4月の条件戦(湾岸S)以来となる勝ち星で、うれしい重賞初制覇を達成。大駆けの要因は何だったのか、関係者談から検証する。

17頭が直線横一線に広がってからは、外枠有利の直千競馬を見ているようだった。中団から運んだトーセンスーリヤ(2着)が大外に進路を取り、2、3馬身ほど後ろにいたクラヴェル(3着)とマイネルファンロンが同馬を挟むようにして伸びる。結局は外ラチ沿いの3頭による叩き合いを制したのが勝ったマイネルファンロンだった。

初コンビでVに導いた殊勲のM・デムーロは「先生(手塚調教師)から気持ちが難しくてかかる面があるけど、調子はいいと聞いていたので状態の良さを信じて乗った。スタートでつまずいて後ろからになったが、他馬と離れていたことでかえってリズム良く運べた。(池添)謙ちゃんの馬(12着ラーゴム)が外に張ってきて気持ちが入ったし、ノリさん(横山典=3着クラヴェル)の後ろでピッタリいい位置が取れたし、直線もずっと頑張ってくれた」。

今春のオークスで勝利に導いたユーバーレーベンと同じ勝負服で同じ手塚厩舎の所属馬。「この勝負服で同じ厩舎。感謝しかない。それに昨年(ジナンボーで2着)負けて悔しかったので、今日は勝ててうれしい」と笑顔がはじけた。

2年以上勝ち星から遠ざかっていたマイネルファンロン激走の要因は? 手塚調教師は報道陣からの問いに答え「ジョッキーに尽きますね。道中抑えてくれて、うまく脚がたまった。これまでいろんな騎手が乗ったけど乗り難しくて思い通りに乗れなかった。なんで抑えが利いたのかな?(レース前に)“かかる”とは伝えたけど、すごいですね」。鞍上の手腕に舌を巻き、絶賛した。

確かに前走(函館記念14着)にしても折り合いを欠いて先頭に立ち早々に失速。2走前の巴賞(2着)や一昨年の函館記念(2着)はいずれもスムーズに先行しての粘り込みだったが、後方からの直線一気はこれまでになかった芸当だ。「向正面で折り合いがついて、直線まで我慢ができたことが全て。調教でもリラックスして走れればしまい伸びる馬。能力はあるから」と手塚師。過去の騎乗者がやりたくてもできなかった戦術で能力を引き出したことが最大の勝因と再度強調した。

今後は放牧を挟んで次走は未定ということだが、ひと皮むけた個性派の走りに引き続き注目したい。

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