【大相撲】白鵬ら宮城野部屋全力士が秋場所休場 専門家が「そこまでしなくても」と話す根拠

白鵬(東スポWeb)

日本相撲協会は横綱白鵬(36)の所属する宮城野部屋の全力士が大相撲秋場所(12日初日、両国国技館)を全休することを決定。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から厳しい判断を下したが、専門家からは「そこまでしなくても…」との声も上がっている。どういうことか?

宮城野部屋では1日に十両北青鵬の感染が確認され、濃厚接触者となった白鵬らがPCR検査を受けたところ全員陰性だった。ところが5日に全協会員の検査を実施し、幕下以下の力士1人の陽性が判明したことで、同部屋力士の秋場所全休が決定。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「いろいろ計算すると(他の力士が感染していないことが分かるまで)場所の途中まではどうしてもかかってしまう」と説明した。

1月には白鵬が新型コロナに感染しており、初場所は宮城野部屋の関係者全員が休場している。ただ、感染症に詳しい医療ガバナンス研究所副理事長で内科医の上昌広氏(52)は今回の対応について「安全性を見越した対応で、とても評価できるんじゃないですか」としながらも「ワクチンも打っているし、私ならそこまで(全員休場に)しなくても、毎日か2日に1回PCR検査をやって(初日前日の)土曜日(11日)に陰性なら出ていいと思うんですけどね」と私見を述べた。

一方で協会は、同じく感染が確認された世話人の錦風が所属する尾車部屋の力士らは、濃厚接触者にあたらないことや陽性者が出ていないことから、秋場所出場は問題なしとしている。この〝扱い〟の差には「五輪でも選手は毎日検査してワクチンも打って隔離したけど0・24%感染した。これは空気感染だと考えられているんですね。科学的には力士でも関係者でも空気感染するので、正直あまり関係ないと思います」と指摘する。

番付編成会議が初日2日前の10日に開かれるため、出場可否を前日の11日に判断するのが困難なのは間違いない。それでも上氏は「ファンは今場所の白鵬を見たいでしょうから。(新横綱の照ノ富士と)2横綱ですし。ファンのためには、白鵬を出すために全力を尽くしてほしい気はしますけどね」と話す。

休場決定のプロセスは適切だったのか。検証を重ねる必要があるということだろう。

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