長崎市議会 常設型住民投票条例案 「成立要件」設け修正可決

 定例長崎市議会総務委員会は7日、「常設型」住民投票条例案について審査。委員から、投票資格者総数の2分の1(投票率50%)に満たない場合は住民投票が成立しない、とする条項を加えた修正案が提出され、賛成多数で可決した。原案では「成立要件」を設定しておらず、委員からは一定の条件を設けるよう求める声が上がっていた。
 条例案では、特別永住者などの外国人を含む18歳以上を投票資格者と規定。その6分の1(6月1日現在、約5万8500人)以上の署名が集まれば、議会の議決を経ずに住民投票が実施される仕組み。
 対象は市や住民全体に重大な影響を与える、または与える可能性がある事項。賛否など二者択一方式での投票となる。結果に法的拘束力はないが、市長には尊重する義務を定めている。
 同市では2016~18年に住民投票実施を求める直接請求が5回相次いだ。いずれも田上富久市長が反対、議会も否決し、実施には至らなかった。こうした背景から、市は必要署名数を6分の1以上とすることで、「一定の民意」を受けたと判断。原案では投票率にかかわらず、投票が成立するとしていた。
 これに対し、委員からは「(原案では)低い投票率でも市長の決定に大きな影響を与える」として、他都市の状況を参考に、投票率50%の成立要件を盛り込んだ修正案が出された。不成立の場合は開票もしない。「必要署名数を超えたものについては、市民の声を聞くべきだ」との反対意見もあったが、修正案は賛成多数で可決された。
 同条例案については3日の総務委で審査したが、成立要件を設けなかった理由について市側が明確に答弁できず、中断していた。

© 株式会社長崎新聞社