PWRのダールグレン、8戦連続キャリア50回目のポールから最多勝記録に並ぶ43勝に到達/STCC第4戦

 2021年も折り返しを迎えたSTCCカンジナビアン・ツーリングカー選手権の第4戦アンダーストープが9月4~5日に開催され、PWRレーシングのロバート・ダールグレン(クプラ・レオン・コンペティションTCR)が予選から8戦連続、キャリア50回目のポールポジションを獲得。さらに前戦同様、週末最初の2ヒートで僚友ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(クプラ・レオン・コンペティションTCR)を従え2戦連続の1-2フィニッシュを達成し、スウェディッシュ時代を含めSTCCシリーズ5冠を誇るリチャード・ゴランソンに並ぶ通算43勝目を手にした。

 今季ここまで3戦で9レースが開催され、すでに6勝を飾ってチャンピオンシップ独走状態に持ち込んでいるダールグレンは、今回もSTCC独自の“サクセスバラスト”で全車中最大となる50kgのウエイト搭載が課されていた。

 しかし公式練習2回目で最速タイムを刻んだまま予選セッションへと挑むと、レース1のグリッドを確定するQ1でアンダーストープのコースレコードを更新する1分37秒126を叩き出し、続くレース2向けのQ2でも1分37秒224として、週末ふたつの最高峰グリッドを占拠する速さを披露した。

「すべてがうまく機能してくれた。クルマは重いながらも非常に快適に感じるし、タイヤを適切なタイミングで機能させることもできた。これは僕の力ではなく、すべて戦略を計算し尽くしてくれたチームのおかげだよ」と、キャリア円熟期を迎えクルーを称賛したダールグレン。

 一方、チームメイトのコチュリンスキーはQ1で僚友に次ぐ2番手タイムを刻み最前列をロックアウトしたものの、続くQ2では5番手タイムに留まる予選結果となった。

「テスト中に発生したすべての問題を解決するために、予選中は中古タイヤでアタックしなければならなかった。それでもこの位置に来られたことには満足しているわ」と明かしたコチュリンスキー。

「私だって、つねにポールポジション獲得を目指して臨んでいるけれど、まだ明日のレースに向けては両方ともに良いポジションから戦えるわけだからね」

 明けた日曜正午前に始まったレース1は、ダールグレンが盤石のスタートを決めてターン1を制すると、一度もポジションを脅かされることなく“ライト・トゥ・フラッグ”の完勝劇で今季7勝目を獲得。

好調ロバート・ダールグレン(Cupra León Competición TCR)がQ1でアンダーストープのコースレコードを更新する1分37秒126を叩き出し、週末ふたつの最高峰グリッドを占拠した
トビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS/Brink Motorsport)は3ヒートすべてで表彰台に絡むことができず
「魔法のような週末だった。PWRのおかげで、サーキットに関係なく最高の状態を維持できている」とダールグレン(中央)

■レース3ではゲスト参戦のバックマンが2位表彰台に

 背後のコチュリンスキーは、予選直後に「正直、僕の今季タイトルを掛けた勝負は終わったと思う」と白旗を掲げていたオリバー・セーデルシュトレーム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/レストラップ・レーシング)との激しい攻防を繰り広げ、ファイナルラップではサイドウェイで真横になるほどのレイトブレーキングを見せたゴルフを封じ、老練エースとの1-2体制を守り抜いた。

 続く午後13時30分開始のレース2も、まるで午前の“カーボンコピー”のような展開となり、レース全域を通じて2番手にヒューゴ・ネルマン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/カヤード・レーシング)がつけたものの、2周目の最終コーナーでトビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS/ブリンク・モータースポーツ)を押し出したとしてレース後10秒加算のペナルティが科せられることに。

 これでコチュリンスキーが連続2位表彰台を確保し、3位にもセーデルシュトレームが続くポディウムに。ダールグレンはボルボのファクトリーチーム所属時代に同僚としても戦ったゴランソンに並ぶ、シリーズ通算43勝目に到達した。

「もちろん、ボルボのポールスター時代は良き思い出だし、僕はリチャード・ゴランソンに多大な敬意を払っている。謙虚でありたいと思うけれど、彼の勝利数に匹敵する勝利を挙げられたなんて心から誇りに感じ、光栄に思っている」

 週末最終ヒートのレース3は、リバースポールを獲得したロビン・クヌットソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/レストラップ・レーシング)が、その優位を最大限に活用してシリーズ初優勝を達成。

 2位にはこのラウンドにゲスト参戦を果たしていたWTCR世界ツーリングカー・カップに参戦する唯一の女性ドライバー、ジェシカ・バックマン(アウディRS3 LMS/ブリンク・モータースポーツ)が続き、再びライバルと接触上等の荒れたレースを演じたネルマンのゴルフGTI TCRが3位に入っている。

 この結果、ランキング2位につける僚友コチュリンスキーに対し65ポイントの大量リードを構築したダールグレンだが、次戦10月2~3日にマントープパークで開催される第5戦では、ゴランソンの持つシーズン最多勝となる9勝の記録に挑戦することとなる。

2019年以来の復帰参戦を果たしたジェシカ・バックマン(アウディRS3 LMS/Brink Motorsport)は、レース3で2位表彰台に
レース3のリバースポールを獲得したロビン・クヌットソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Lestrup Racing)がSTCC初勝利
R3の3位には週末大暴れだったヒューゴ・ネルマン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Kågered Racing/右)が入った

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