東京五輪でコロナ感染した韓国人記者が組織委員会のずさんな検査体制を糾弾

東京五輪のメインプレスセンター

東京五輪で新型コロナウイルスに感染した韓国人記者が、自身の体験談を交えて大会組織委員会の検査体制を糾弾した。

韓国紙「スポーツソウル」の記者は、大会終盤に検査で陽性が判明。「ワクチン接種を2回終え、3週間東京で過ごしながらずっと陰性だった。帰国前で必須の72時間前の検査で陽性となり、これがブレイクスルー感染かと実感した」と感染が判明した際の様子を驚きとともにつづった。

そして、その後の組織委員会の対応を厳しく批判。「ずさんなシステムをよりリアルに感じることができた」という同紙記者は「まず組織委員会は、大会閉幕を控えて最後の検査で陽性判定を受けた記者や関係者に対するフォローアップシステムが全くなかった。陽性の結果を受けた後、メインプレスセンター(MPC)内の大半の関係者はどうしていいか分からないでいた。1時間以上が過ぎて防護服を着た関係者が来て『宿泊施設に戻って待機せよ』と言う。どのように戻るのか聞くと『地下鉄やタクシーなどに乗ればいい』と答えた。韓国では防疫車を呼んで感染者を隔離施設に移すのが一般的だが」。感染者に交通機関を利用するよう促し〝バブル〟は機能していなかったというわけだ。

その後も「組織委員会に電話もメールもつながらない。本紙日本語版を運営する在日韓国人の担当者が直接電話をかけて抗議してやっとつながった」と対応のまずさを指摘した。

そして宿泊施設から隔離施設へと移り、10日間の隔離を終えて再検査を受ける際にまたもや不手際があったという。

「MPCで検査を受けたが、検査を受けた翌日の夜になっても結果が出ない。組織委員会が、記者が提出した検体容器をなくしたのだ。大会期間中も組織委員会は、多数の取材陣の検体容器を欠落したことがある」と糾弾。「結局、組織委員会は記者に謝罪した後、夜遅くになってようやく検体容器を発見したと伝えてきて、陰性の結果が出た」と最後まで組織委員会の検査管理体制がずさんだったと批判した。

こうした体験を踏まえて同紙は「日本では何回も緊急事態宣言を出してもコロナの拡散が収まらない。なぜそうなってしまうのか、五輪閉幕後の悪夢のような隔離期間を通じて改めて悟った」と皮肉たっぷりに日本全体のコロナ対策の不備を指摘した。

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