ソフトバンク・柳田 “死球回避術” も超一流 「ギータだから無傷で済んでいる」の指摘も

死球の次の打席で、右方向への豪快なタイムリー二塁打を放ったソフトバンク・柳田(東スポWeb)

逆転優勝を目指す4位ソフトバンクは、10日の日本ハム戦(札幌ドーム)に4―4の引き分け。手痛いドローとなったが、柳田悠岐外野手(32)のすごさが凝縮された試合となった。

鷹ベンチ、ファンが肝を冷やしたのは4回。相手左腕・河野のすっぽ抜けのスライダーが、柳田の頭部付近を襲った。反射的に身をかがめたことでヘルメットのツバに当たって大事に至らなかったが、球場は一時騒然となった。

右足を強く踏み込みながらも、抜群の反射神経で惨事を回避できる。かねて柳田は球界内から「一流の打者はよけ方がうまい。柳田は現役時代の王会長に通じる。厳しい攻めは強打者の証しだが、イラ立つ心を鎮めて、危険な目にあってもひるまず、そうして積み上げた実績は価値がある」(球団OB)と評価されてきた。意図しない死球で大ケガに至れば、相手投手も不幸になる。「よけるのがうまい柳田だから軽症や無傷で済んでいる例がいくつもある」(チーム関係者)という声は多い。

さらに真骨頂を見せたのは、死球直後に回ってきた5回の第3打席。初球から目いっぱい踏み込み、2球目のスライダーを右翼線へ引っ張って適時二塁打を放った。「残像が残るとよく言うが、柳田は残像を消せる稀有な打者」(他球団関係者)。執拗な内角攻めにひるまず、結果で示す根性は、実績以上に評価されている。

「柳田が目の前でそういう姿を見せるから、若い選手がみんなそれに続いていく」(チーム関係者)。河野は柳田への死球後も荒れ球が散見されたが、三森、栗原らが初球から思いっきり踏み込んで打ちに行った。

柳田が見せた「一流打者の真の証し」。死球直後に放ったタイムリーに盛り上がるベンチの雰囲気が、その価値を物語っていた。

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