山本由伸、自身10連勝にも「内容は最悪」 25年ぶりVヘ6回早期降板のメリット

オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】

13勝、防御率1.54、154奪三振はいずれもリーグトップ

■オリックス 7ー1 西武(10日・メットライフ)

オリックスの山本由伸投手が10日、敵地メットライフドームで行われた西武戦に先発し、今季13勝目を挙げた。6回2安打無失点の好投で5月28日のヤクルト戦(京セラドーム)以降、自身10連勝。勝利数、防御率(1.54)、奪三振(154)はリーグトップで「投手3冠」の可能性も高まっている。

東京五輪で侍ジャパンのエースとして金メダル獲得の原動力の1人となった山本が、今度はチームを25年ぶりの優勝へ導く。「ゼロに抑えて勝てたことはもちろん良かったのですが、内容は最悪かなと思います。カウント3-2となることが多かったですし、思ったところにコントロールできていなかったので」。試合後の山本に満足するところはなかった。

序盤から毎回のように走者を背負う苦しい投球になった。初回は2死三塁、2回と3回は1死二塁と再三、得点圏に走者を背負った。球数もかさみ、6回で107球。中嶋聡監督も「珍しく力が入ったまま投げていて、すっぽ抜ける球があった」と振り返った。

ただ、早めの降板は試合前から想定済み。というのも、後半戦に入ってから山本は8月20日の西武戦で126球1失点完投、同27日のソフトバンク戦で106球4安打完封、9月3日のソフトバンク戦で8回120球1失点と熱投が続いており、指揮官は「点差が開いた(6点差)ということもあるが、ずっと長い回を力投していたので、今日は短いイニングになってしまうのかな、と思っていた」と明かした。

後半戦に入り力投続きだった山本を打線が早めに援護

チームは四半世紀ぶりの優勝へ向け、激しい首位争いを展開している最中。勝負の秋を前に、今のうちに絶対的エースの負担をなるべく軽減しておきたいのが本音だろう。そんな山本を打線が5回までに6点を奪う猛攻で援護し、6回での降板を可能にした。

チームは首位のロッテにゲーム差なしの2位。日を追うごとに優勝を争う重圧が増しそうだが、山本自身は東京五輪でプレッシャーは経験済みとも言え「こういう凄く緊迫している状況で野球をすることによって、成長できると思います」と前向きに捉えている。

さらには「能見(篤史投手コーチ兼投手)さん、平野(佳寿投手)さんをはじめ先輩方がいるので、背負っている感じはそれほどありません。楽しんでやれたらいい」と付け加える。まだまだ伸びる23歳。盛りだくさんの今季、どんな大団円を迎えるのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2