雲仙・噴火災害の記憶継承 「広報みなみしまばら」を避難生活経験の職員が編集

噴火災害特集の編集に携わった林田さん=南島原市役所

 1990年から約5年半続いた雲仙・普賢岳噴火災害の記憶を継承しようと、長崎県南島原市は「広報みなみしまばら」9月号で特集を掲載。91年9月15日、同市深江町大野木場地区などを襲った大火砕流をはじめ、当時の様子や被災体験、今も続く噴火災害の脅威を6ページにわたって詳報している。
 今年は、91年6月3日の雲仙・普賢岳大火砕流、大野木場地区などの大火砕流から30年の節目。特集は、市に残る噴火災害の膨大な画像の中から、被災状況や避難生活の様子が分かる14枚を選んで収録。噴火から終息までの経過や出来事などを細かく記した年表や、旧大野木場小の被災校舎など6カ所の被災遺構も紹介している。
 編集に携わった市総務秘書課副参事の林田友和さん(43)は91年当時、市立深江中2年。自身も、市立小林小校庭に建てられた仮設校舎に通学するなど避難生活を経験した。「先が見えない不安な状況の中、家族や友人、地域の人たちと助け合いながら、また全国の方たちからの励ましを受けながら乗り越えることができた」と振り返る。
 現在、普賢岳の状態は落ち着いているが、噴火活動で形成された溶岩ドームは地震や大雨によって崩落したり、土砂が流れ落ちる可能性もある。林田さんは「噴火に限らず地震や豪雨による自然災害はいつ起こるか分からない。日ごろから家族と話し合って、災害発生時に命を守る行動ができるよう備えてほしい」と呼び掛けている。
 広報みなみしまばらはA4判。毎月1日、1万7200部発行。

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