衆院選長崎 自民4区 瀬川氏公認申請へ 北村氏への不満大きく 総裁選が最終決定に影響も

自民党県連の常任総務会後、取材に応じる北村氏=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 自民党県連が今秋の衆院選長崎4区の公認候補として、前地方創生担当相で現職の北村誠吾氏(74)を選ばなかった背景には、党員の不満が予想以上に大きかったことがあるようだ。
 「佐世保支部の決定をないがしろにする意向調査(投票)には納得できない」。山本啓介県連幹事長が選挙対策委員会(選対)で投票の実施を提案すると、佐世保市・北松浦郡区選出の県議がかみついた。同支部は4区内の党員の約7割を抱える最大の地域支部。11日の総務会で北村氏の推薦を決定していた。
 選対は県内各地の支部や議員らが委員を務める。18日は、北村氏を支持する県議や国会議員、地域支部が投票に反対し、4区関係者らで選考するよう要求。逆に、西海市区選出県議の瀬川光之氏(59)を推す県議や職域支部などは実施を求めた。北村氏側は選対で投票になれば「負ける」とみていたとみられ、舞台を変える必要があった。だが投票するかどうかを投票で決めることになり、実施が確定。北村氏は敗色濃厚となった。
 瀬川氏は8月上旬、地元西海市の3地域支部が県連に公認を求めて以降、4区の周辺部から、じわりと支持を広げた。さらに複数の団体が推薦。その一つで県内最大の職域支部、県看護連盟は記者団から推薦の理由を問われるとそれには直接答えず、北村氏の不安定な国会答弁などが理由で「『次の衆院選は…』などの意見が出ている」と述べた。県連関係者は「こうした世間の一般的な反応を北村氏は理解していない」と手厳しい。
 北村氏を推薦した佐世保支部にも「なじみがない瀬川氏は推薦できないが、本当に北村氏で選挙に勝てるのか」という声が少なくなかった。北村氏は焦りを募らせ、2区候補を選考する今月12日の会合に出席した際、瀬川氏を推す団体の幹部と口論になった。
 選対は当事者の北村氏を除いて34人。当初は両陣営とも「投票なら拮抗(きっこう)する」とみていた。だが少しずつ北村氏側は切り崩され、終わってみれば瀬川氏22票、北村氏12票の大差だった。
 県連は今後、瀬川氏の公認を党本部に申請するが、現在行われている党総裁選が最終決定に影響する可能性がある。北村氏は立候補している岸田文雄前政調会長の派閥に所属。岸田氏が総裁に選出された場合、北村氏を公認することを瀬川氏側は警戒する。
 北村氏は18日、記者団に言った。「11日の第4選挙区支部の役員会では、リモートで参加した党本部が私を公認候補予定者と確認してくれた。(再度)確認してもらうようこれから努めたい」

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