キラリと副産物

 昨年春の臨時休校。「ずっとだらだら過ごすの」と母親に促されて佐世保・早岐中の岡徠華さんは、入院中の子どもたちに手作りマスクを贈ることを思いついた▲材料をかき集め、慣れないミシンと格闘して市内の2病院に50枚ずつ。感謝の言葉がうれしくて今度は保育園と福祉施設にも。これが自分にできること、今しかできないことだ▲「行って来ます」は必ず戻るという約束、ありがとうは「有り難う」。「何げない言葉にも深い意味がある」と佐々中の芦塚陽菜さん。生きていることは危険と隣り合わせだから、小さな言葉を大切に、一日一日を悔いなく▲大村・郡中の今里倖さんは、小3から参加している合唱団の練習が何度も中止に。歌えない寂しさ。笑顔があふれる会場で歌声を届けられる日が戻るのを心待ちにしている▲佐世保・山澄中の武田かのかさんは「濃厚接触者」として2週間の自宅待機を経験した。先生たちが環境を整えてくれたリモートの授業、級友との画面越しの会話。気がついた。自分の「当たり前」はたくさんの手に支えられている▲子どもたちの日常も激変させた新型コロナの流行だが、キラリと光る副産物もあちこちに。「レガシー」と呼んだものかどうか、と迷いつつ…今年は動画審査になった「少年の主張」県大会から。(智)

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