「第21回テレビ朝日新人シナリオ大賞」大賞は現役大学生・六藤あまねの「バイシクルレース~負けられないこの夏の戦い~」

テレビ朝日が主催する、自由で新しい才能を発掘する「第21回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の授賞式と記者発表が、無観客のリモート形式で行われ、応募総数1453編の中から、大賞1篇と優秀賞2編が決定。六藤あまね氏の「バイシクルレース~負けられないこの夏の戦い~」が大賞に輝いた。

本賞は、21年におよぶ歴史の中で、古沢良太氏(映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)、「探偵はBARにいる」(11年)シリーズ、ドラマ「相棒」「「ゴンゾウ」(ともにテレビ朝日系))、坂口理子氏(スタジオジブリ作品「かぐや姫の物語」(13年)、朝の連続テレビ小説「マッサン」(NHK)、映画「フォルトゥナの瞳」(19年))、小峯裕之氏(「家政夫のミタゾノ」シリーズ、「ヒモメン〜ヒモ更生プログラム〜」「時効警察はじめました」(ともに同系))、伊藤洋子氏(「遺留捜査」「刑事7人」(ともに同系))など、多数の才能を見いだしてきた。

今回は、テレビドラマ、配信ドラマの2部門で募集され、テレビドラマ部門には「ホームドラマ」というテーマが設けられた。20年12月1日の締め切りまでに、テレビドラマ部門・847編、配信ドラマ部門・606編、計1453編の応募があり、第1次選考は日本脚本家連盟に所属する脚本家によって行われ、262編が通過した。第2・3次選考は、同局のプロデューサー、ディレクターなどで構成された社内選考委員会によって審査が行なわれ、第3次選考で10編に絞り込まれた。

そして、選考委員の脚本家・井上由美子氏、岡田惠和氏、両沢和幸氏による最終選考会が行なわれ、受賞作品3編が決定。大賞の「バイシクルレース~負けられないこの夏の戦い~」(テレビドラマ部門)のほか、優秀賞には近藤真由美氏の「寄生虫女、ニワトリ男」(配信ドラマ部門)、坪井努氏の「二人の光」(テレビドラマ部門)が選ばれた。

「バイシクルレース~負けられないこの夏の戦い~」は、一つの家族が通勤・通学のために毎朝のように繰り広げる自転車争奪戦を描いたホームコメディー。井上氏は「『ホームドラマ』『家族』という大きなテーマに対して自転車の取り合いという、すごくささやかな題材を持ってきたところに作者の並々ならぬセンスを感じました。展開がスムーズで、登場人物に対する温かい目線があって完成度はとても高く、大賞にふさわしい作品だと一致しました」と選評を述べた。

大賞を受賞した六藤氏は大学4年生で「本日は大学の夏休み最後の日なのですが、こんな日に大賞をいただくことができ、きっとこれからの人生で何度も振り返る、忘れられない日になると思います。今日を単なる“思い出の日”にするのではなくて、脚本家としての初日にできるようにこれから頑張っていきたいと思います」と受賞の喜びを語った。

優秀賞の「寄生虫女、ニワトリ男」は、それぞれ事情があって結婚を急ぐ男女の紆余曲折をコミカルに描いたラブストーリー。岡田氏は「ラブコメを楽しんで書いているのが伝わってきます。ちゃんとハッピーエンドに向かっていて、それも照れずにやっていて好感度の高い作品だと思います。誰でもいいと思っていた相手が、ちょっと好きになってくると向こうに愛がないことが物足りなくなってくるという、とてもストレートなラブストーリー。気持ちよかったです」と称賛した。

受賞した近藤氏は「今、コロナ禍で皆さんたくさん我慢されているかと思うのですが、こんな時でも『あのドラマがあるから頑張ろう』と思っていただけるようなドラマを書いていきたいなと思っていましたので、このような素晴らしい賞をいただけたことは本当にうれしく思っております」と感謝の言葉を口にした。

同じく優秀賞の「二人の光」は、ある日突然、主人公の目の前に現れた、もう1人の自分。現実と並行するパラレルワールドからやってきたという、別人格の自分と家族とのやりとりを描くミステリーテイストのホームドラマだ。両沢氏は「私は、これ非常に面白かったです。『並行世界』『パラレルワールド』というのは、ある種のトレンドかなと思っているのですが、現実の日常的な世界と異世界が微妙に反映しているという、そんな世界観があって、今の脚本だなって思いました。実に楽しく読ませていただきました」と高く評価した。

作者の坪井氏は「自分の作品が“ホームドラマ”という募集テーマにふさわしいのかという気持ちはありましたが、自分の思いを貫いた作品で挑戦しようと考えて応募したところ、賞がいただけたので大変うれしく思っています。僕も多くの人に力を与えることができるテレビドラマを制作できるよう、この賞を励みに精進して書き続けていきたいと思いました」と受賞を喜び、新たな決意を表明した。

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