ソフトバンクのエース・千賀滉大投手(28)が貫録の投球を見せた。22日の首位ロッテ戦(ZOZOマリン)に先発して、8回途中3安打1失点の好投。波に乗れないチームを4―1の快勝に導き、6勝目をマークした。
千賀の独壇場と言える試合だった。最速158キロの真っすぐに、150キロのカットボール、伝家の宝刀・フォークを自由自在に操り9奪三振。敵地にはロッテファンのため息が漏れた。球場上空に常時風速10メートル近い強風が吹いていたことを考えれば、特筆すべき内容だった。
ZOZOマリンスタジアム特有の海風がバックネットに当たって跳ね返ってくる風は、投手にとっては悩ましいもの。ただ、千賀は「マリンで投げる時に強風の時は、僕はほぼ勝っていると思うんです」。成功体験を追い風に「風が強いってことは、それを生かすこともあれば、殺してしまうイメージもある。今日は生かせるように〝風と共に〟なれるように頑張りました」。繊細な右腕ゆえに成せる〝名作級〟の快投だった。
特筆すべきことはもう一つあった。7回を投げ終えた時点で98球。ベンチで首脳陣に「行けるところまで行かせてください」と直訴。8回のマウンドに志願して上がったのには、理由があった。「風が強かったので、リリーフで投げる方が風でおかしくなると申し訳ないと思った。難しいだろうなと思っていたので『行きたいです』と言いました」。8回二死まで116球。左打者の藤原を迎えた所で、工藤監督はお役御免とばかりに交代を告げるとベンチに戻ったエースを労った。
最後は森が締めて、守護神に2試合連続のセーブがついた。打線も2試合連続の2ケタ安打をマーク。工藤監督は「こういうゲームをすることが大事。本来の野球ができるようにしたい」と満足そうに振り返った。首位と8ゲーム差、CS進出圏内の3位楽天とは3ゲーム差と浮かれてはいられないが、潮目が変わる1勝となるかもしれない。