諫干請求異議訴訟差し戻し審 福岡高裁「協議続行」 双方に意見書への見解求める

 国営諫早湾干拓事業の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審の進行協議が22日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。国が協議打ち切りと判決言い渡しを求める姿勢を改めて示したのに対し、同高裁は協議続行を決め、次回期日を10月27日と指定した。その上で、国、開門派双方にそれぞれの意見書への見解を次回示すよう要求した。
 非公開の進行協議後、開門派弁護団が明らかにした。同高裁は4月、開門、非開門のいずれも前提としない和解協議の場を設けることを提示。国は意見書で「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」と拒否し、判決言い渡しを求めている。和解協議設定に賛同する開門派は、どのように紛争の早期解決を図るかなどを国にただす6項目の求釈明(訴訟の相手当事者への質問)を意見書として出していた。
 開門派は今月21日付で独自の和解協議案を新たに提出。結審後も判決まで話し合いを継続でき、訴訟当事者以外の幅広い意見も反映しやすいように訴訟外での協議開始を要求しており、同高裁はこの点の見解も示すよう国に課した。
 馬奈木昭雄団長は報道陣に「裁判所は(協議を)打ち切らないという明確な訴訟指揮をした。(解決に向けた)協議に一切応じない国の姿勢は許されない」と批判した。
 一方、農林水産省の担当者は取材に「開門、非開門の方向性が定まらないまま和解協議をしても、いたずらに時間を重ねるだけで成立するとは考えられない。非開門を前提とした和解協議なら真摯(しんし)に検討する用意がある」と話した。

© 株式会社長崎新聞社