強制的なワクチン接種がビジネスモデルに? 独紙「選手は基本的な権利を契約によって放棄」

開幕が近づきつつある北京五輪(ロイター)

北京五輪まで約4か月半を切った中、ドイツ紙「南ドイツ新聞」は「100万ドル規模のビジネスになるトップレベルのスポーツでは、強制的なワクチン接種がビジネスモデルの一部となるだろう」との見方を示している。

今夏の東京五輪では出場するアスリートに対してのワクチン接種義務化は見送られたが、米国は北京五輪に向けてワクチン接種を義務化する方針を決定。同紙は「米国オリンピック委員会はすでに政令を出している。ドイツオリンピック委員会は、この問題への対応を検討している」と報じた。

その上で、ワクチン接種が進むスポーツ界の事情を紹介。バスケットボールドイツ1部リーグでは約99%の選手がワクチン接種を終えたことを伝え「プロリーグのビジネスモデルは、選手が数日ごとに飛行機、シャトルバス、ホテル、アリーナなどで別の都市に移動することで成り立っている。感染のリスクが高いので、不必要なリスクは避けなければならない」と説明した。

さらに、ワクチン接種を拒む北米のナショナルホッケーリーグ(NHL)の選手の事例を挙げ「カナダのNHLクラブは、試合のために約30回も米国を往復しなければならないので、ワクチン接種は欠かせない。ワクチンを打っていない当該選手は、毎回14日間の隔離が必要となる。当該選手の場合、ワクチン接種に対する懐疑的な態度は、約40万ドルの給与喪失という具体的な代償を伴う」と指摘した。

同紙の厳しい論調には批判も予想されるが「スポーツは数百万ドル規模のビジネスであり、ミッションに参加したい人はルールに従うことになる。スターを目指すアスリートたちは、尿を出したり、血液データを開示したり、薬を飲んだり、靭帯が半分しか治っていない状態でフィールドに戻ったりしなければならない。多くの選手は、自分の体について自由に決定する基本的な権利を契約によって放棄している」と締めくくった。

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