神奈川・藤沢市 龍口寺本堂、五重塔など重要文化財に指定

龍口寺本堂(藤沢市提供)

 藤沢市教育委員会は27日、日蓮宗の寺院としては県内屈指の龍口寺(同市片瀬3丁目)の本堂と山門、五重塔の1棟2基を市指定重要文化財に指定すると発表した。指定は10月1日付で、今回で市指定重要文化財は計88件となる。

 龍口寺本堂は江戸時代後期の1832(天保3)年に完成。幕末らしい開放的な構成と豊富な彫り物を特徴とし、細部の装飾の質の高さも評価された。山門は最も格式の高い四脚門形式の向唐門(むかいからもん)で、1864(元治元)年に大阪の豪商の寄進によって建立された。中国画題を多用し木目を生かした彫りが精緻で表情豊かに表現されている。

 五重塔は高さ約25メートルで、初層から4層の24面に「日蓮聖人一代記」の彫刻が彫られている。1898(明治31)年に起工し、1910(明治43)年に落成式が行われている。近代の建立になるが、緻密な細部を持つ本格的な五重塔で、県内では創建時の場所に現存する唯一の木造塔となる。

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