韓国農業紙「日本などへの種子権利料支払いは年10億円」「シャインマスカットは希望的事例」

韓国は野菜や果物、花卉などで、海外の種子に依存するものが多く、日本を含む外国へのロイヤリティが10年で約130億円に上ることが分かった。

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農村振興庁の統計によると、韓国は2010年から2019年まで海外に支払った種子のロイヤルティーは、4分野12作物に上り、合計1357億6000万ウォン(約128億円)と集計された。

最も多くのロイヤルティーを支払った分野は、花卉(かき)の分野であり、10年間で660億9000万ウォン(約62億円)であり、キノコ(492億2000万ウォン=約42億円)、果物(241億5000万ウォン=約23億円)、野菜(8億5000万ウォン=約8千万円)の順だった。 2017年から2019年まで毎年総額で100億ウォン(約10億円~)台のロイヤルティーを支払っている。

画像:韓国産シャインマスカット

韓国の農業経済新聞は27日、『青陽唐辛子など国産農産物、海外にお金を出して食べる…毎年100億ウォン』というタイトル記事を掲載し、上記統計を引用しながら「国内産農産物を愛用していた消費者は、後頭部を強く殴られた感じがするだろう」と指摘した。

韓国は1997年の金融危機(IMF危機)当時、国内の代表的な種子会社が外国に売却され、その過程で種子の知的財産権も外資の手に渡る例が相次いだ。

農業経済新聞によると、韓国で生産する「えのき」の約80%は日本品種であり「日本メーカーに販売収益の一部を支払っている」状態だ。また、「キャベツや玉ねぎもほとんどが日本品種であり、消費するたびに収益の一部が日本に移る」と指摘。また韓国の代表的な野菜である西洋唐辛子についても「所有権はドイツバイエルにある」と伝えている。

画像:韓国が開発したイチゴ品種「雪香(ソルヒャン)」

一方で同紙は、「10年ぶりに日本のイチゴのシェアを抜いた韓国産イチゴ、日本が品種登録をしなかったため韓国が改良して国内外で高い市場シェアを見せている青葡萄品種《シャインマスカット》などの希望的な事例もある」と強調した。

シャインマスカットに関しては、韓国の果樹農家の間で「所得が2倍に増えた」との報道も相次いでおり、栽培面積は本家の日本より高い状態だ。2019年7月の日本による対韓国輸出規制(輸出管理強化)以降は特に、果物や野菜、花卉や穀物分野での品種国産化が活発に進められている。

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