韓国紙「ベトナムは韓国産シャインマスカットが人気」「しかし中国産が15分の1価格で販売開始...」

元は日本で開発された高級ブドウ品種である「シャインマスカット」だが、海外での品種登録がされなかった結果、現在は韓国や中国が栽培面積で日本を凌駕する。特に韓国は、シャインマスカットの収益が既存の2倍以上と高いことから、果樹農家がこぞって栽培に乗り出しており、中華圏や東南アジアなどへの輸出も多い。しかし、主要輸出市場だったベトナムで異変が起こっているようだ。

参考記事:韓国農業紙「日本などへの種子権利料支払いは年10億円」「シャインマスカットは希望的事例」

韓国の「食品外食経営」紙は29日、『ベトナム果物市場鈍化…中国が《低価格シャインマスカット》攻勢』という記事を掲載し、警鐘を鳴らしている。

昨年基準の韓国のベトナムへのブドウ輸出実績は814万ドル(463トン)であり、「特にシャインマスカットがベトナムで大きな人気を集めた」と同紙は指摘する。韓国産シャインマスカットは他のブドウに比べ糖度が高く、価格も3〜4倍高いが、富裕層市場や贈答用として人気を博していた。

画像:ベトナムで売られる韓国産シャインマスカット/現地販売サイト

ベトナムではシャインマスカットを「ミルクブドウ」(Nho Sua)と呼ばれ、韓国産を扱う輸入業者は定期的に輸入しても品切れになるケースが度々あったと韓国の流通紙などでは伝えられた。

しかし、ベトナムでは新型コロナウイルスの長期化により購買力が減少するなか、「新鮮果実類の市場の成長が鈍化」し、「手頃な価格の中国産シャインマスカットへの消費者の関心度が上がった」と同紙は報じている。

コロナ以前までは経済成長に伴う家計所得の増大に応じて、輸入果物の需要も多く、消費者による安全志向も高まっていたものの、コロナでそのような「蓄積」が崩れているのだ。

同紙はベトナムメディアの報道を引用し、ベトナムで旧盆期間に中国産シャインマスカットが前例のない安い価格(9万〜12万VND /㎏)でオンライン販売されたと伝えた。この価格は「昨年韓国産シャインマスカットが120万〜175万ND / kgで取引されたことを考えると比較もできないほどの低価格である」と驚嘆している。

画像:現地の中国産シャインマスカットについて報じる食品外食経営紙報道キャプション

中国産のシャインマスカットの価格とされる9万~12万ドンは日本円で約440円~587円に相当する。一方で韓国産の価格とされる120万~175万は呑日本円で5,873円~8,565円に相当する。つまり中国産は韓国産の13分の1~15分の1の安さで売っていることになる。まさに破格の安さである。

同紙は現地の流通業者の声を引用し、「中国産シャインマスカットの品質(糖度、果肉など)は韓国産に比べて低いレベルにあり、一般的なブドウに比べザックリした食感と香ばしさのため、懐事情が困難な現地消費者の間で販売されている」と伝えた。

参考記事:韓国紙「シャインマスカットで克日」「地団太踏む」 「自慢できることか?」ネット民

参考記事:ベトナム戦虐殺事件の裁判、当時韓国軍人が証人喚問へ 70余人の村民虐殺めぐり

参考記事:韓国ラーメンがベトナム(世界第5位市場)でもピンチ? 発癌騒動でブランド失墜・新法案懸念

© 合同会社WTS研究所