巨人ハイネマン帰国で新助っ人〝全滅〟の異常事態 球団内に「不穏な空気」漂う

原因不明の体重減少で帰国した巨人ハイネマン

3位・巨人は30日の中日戦(バンテリン)に0―1で今季10度目の零封負けを喫し、ドロ沼の5連敗となった。逆転Vがますます遠のく中、8月に加入したばかりのスコット・ハイネマン外野手(28)が「体調不良」で帰国することが決まった。これで今季加入した外国人選手3人全員がシーズン途中で帰国する超異例の事態に…。結果責任を問われる東京・大手町の球団内には不穏な空気が漂い始めている。

またも連敗阻止はならなかった。先発したメルセデスは6回1失点と好投したが、打線は天敵の大野雄らの前に二塁すら踏めず、2試合連続でスコアボードに「0」だけを並べた。これで9月を6勝14敗5分けの借金8で終えたばかりか、5年ぶりの中日戦の負け越しも決まった。

チーム状態はどん底。それでも前に進むしかない原辰徳監督(63)は「今、トンネルの中に入っているからね。早く抜けるようにみんなでして、抜けた時が楽しみよ。以上!」と努めて前向きに締めくくった。

明るい兆しが見当たらない中で、さらなる誤算が生じた。球団の発表によると、ハイネマンは8月25日に来日して以降、体重が大幅な減少を続け、都内の医療機関で検査しても原因が判明せず、米国で改めて検査するという。原因を特定できない以上はやむを得ないが、今季はまさに一寸先は闇だ。昨オフに獲得したテームズは4月のデビュー戦でいきなり右アキレス腱を断裂し、帰国後に退団。スモークは来日できずに米国に残してきた家族との生活を選び、6月に自ら退団を申し出た。2人合わせてメジャー通算292発を誇った大砲コンビは、開幕から3か月でチームを去った。

帰国の理由はさまざまだが、原監督が両助っ人に下した評価はシビアなものだった。「結果的には戦力になっていない。そのへんはプロの世界だから。(ハイネマンで)外国人も3人目。ダメダメ、ダメだったら大変なことだよな」。つまりはシーズンを通じて戦力になれたかどうかの一点で、助っ人の価値が決まる。その上で「三度目の正直で国際部も頑張るでしょう」と期待をかけた。

そして、球団が白羽の矢を立てたハイネマンは1か月で帰国…。球界関係者は「巨人では何かが起きれば、必ず誰かが結果責任を問われる。それが今後の人事にまで発展するかは分からないが〝なかったこと〟にはならない。何らかのペナルティーが科せられるでしょう」と語った。最近では入団1年目のドラ1右腕・堀田が未登板のまま右ヒジのトミー・ジョン手術を受け、昨夏に当時のスカウト部長が事実上の更迭となっている。

今回の体調不良が原因で抹消中だったハイネマンの再来日は、米国での検査結果などを受けて検討される。ただ、治療や再来日後の隔離期間などを踏まえれば、今季中の復帰は難しい。やりくりする戦力を一人でも増やしたい現場にとって、シーズン大詰めでの帰国は痛手だ。V争いから後退するとともに球団内も徐々にキナ臭くなってきた。

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