韓国紙「半導体製造装置の対日輸入、昨年規模(1.2兆円)をはるかに超える」 国産化支障など背景に

韓国による日本からの半導体関連製品の輸入額が大きく増加していることが判明した。2019年7月にとられた日本の半導体素材3品目の対韓国輸出規制(輸出管理強化)を受け、韓国政府や企業では国産化の動きが高まり、日本製不買運動も広がった。しかし、昨年は半導体好況期だったことから、これを逃すまいと、品質が確実な日本製製造機器が求められた結果とみられる。

参考記事:韓国紙「日本は韓台に半導体主導権奪われたが、素材は世界最高」 「眠れる獅子を起こすな」ネット民

3日、韓国野党(国民の力)のベ・ジュンヨン議員が韓国関税庁から提出を受けた「対日本半導体関連の輸入現況」によると、昨年、日本産半導体関連の主要17品目の素材・部品・機器の輸入額は108億3226万ドル(約1.2兆円)となり、前年(88億8195万ドル)に比べ約22%(19億5031万ドル)増加したことが分かった。

詳しく報じた東亜日報によると、同17品目のうち、「マスク製作機器」を除いて、「ウエハ製造装置」など16品目の輸入額がすべて増加した。さらに、今年1〜8月に日本産の半導体輸入額は98億4997万ドルとなっており、この傾向が続けば、昨年の輸入額をはるかに超える150億ドル規模(39%増)になる見込みだ。

日本の対韓国輸出規制3品目のうち、フォトレジストも輸入額が昨年3億2829万ドルとなり前年比22.3%増加した。一方で、フッ化水素は前年より73.2%減少し、フッ化ポリイミドは前年と同水準だった。

image

東亜日報は、「昨年、日本産の半導体関連製品の輸入額が増えたのは、新型コロナウイルス以降、ITを活用した非対面の生活が広がり、半導体製品の需要が急増したため」である指摘した。

続けて、(米中対立の最中)半導体サプライチェーンが安全保障問題として浮上しているにも関わらず、「政府が今年5月に大々的に発表した《K半導体戦略》がスピードを適切に出せずにいるという不満も出ている」とし、半導体素材・部品・機器の製造特区(龍仁半導体クラスター)が「土地補償、電力・用水などをめぐって省庁間の軋轢争いと地方自治体の先延ばし行政などで遅々として進まない」ことから延期に追い込まれた現状などを伝えた。

韓国の複数の経済紙によると、文政権による半導体素材などの国産化政策が投入予算を大きく下回る成果を出せていないことや、それにも関わらず成果として強調すること、優れた素材などを開発しても市民団体の反対や自治体の非協力などで本格的生産が進まない現状などがこれまで伝えられている。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「輸入すること自体は正常なこと。しかし輸入中断をまるで独立運動でもするかのように演出し、自給自足時代に追い込んだ文在寅政権が情けないのだ。そんな調子では世界各国が貿易してくれなくなる」

「扇動が終われば自分は知らぬふり」

「利益が無ければやらないのが人の常」

「結局のところ(国産化は)プロパガンダだったのか?…」

「…政権交代を…」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

参考記事:韓国紙「日本の輸出規制品を国産化しても住民が工場反対」「まるで罪人」

参考記事:韓国経済紙が文政権の国産化政策に疑問「9千億かけて1千億の効果」「日本企業なしに生産不可」

参考記事:日系半導体企業の韓国人解雇、労働当局は「不当解雇」を棄却….工場はすでに売却

© 合同会社WTS研究所