緑の芝と四季折々に咲く花、季節の移ろいとともに色づく木々の葉。糸魚川市田海の森歯科医院(森道弘院長)の治療室から見える庭の景色が、患者の心を和ませている。
同医院は昭和50年に現在地へ移転。当時、庭の樹木は小さく少なかったが、植樹をしたり自然に増えたりして、先代院長から現院長へと引き継いできた歳月で成長した。桜やサツキ、サルスベリ、松、イチョウなど多種。海抜約5メートルの同所では珍しいシラカバを植えていたこともあり、シンボル的な存在だったという。
春は桜舞い散る花吹雪、初夏は新緑まぶしい若葉、秋は落葉したイチョウが一面覆う黄色のじゅうたん、冬は囲いに新雪が降り積もった白一色の世界が広がる。向かいの山添社の桜の木や黒姫山も一望でき、豊かな自然と風情漂う景色を窓越しに〝独り占め〟。患者からは「診察台から眺める庭の景色がきれいで癒やされる」と安らぎの声が届く。
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年間通した手入れは、市シルバー人材センター青海支所会員の宮原弘幸さん(84)が数十年にわたって担う。「心を込めてやっている。自然の状態を大事にして立体感が出せるように」と熟練の腕を生かし、張り合いを持ってせん定作業などに励んでいる。
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自身も草刈りに汗を流す森院長(63)は「歯の治療はどうしても不安感や不快感を患者さんに与えがち。この庭がそれらの軽減に少しでも役立ってくれているのならうれしい」と話した。