韓国紙「ノーベル賞どころではない...85%の大学院が定員割れ」「日本の基礎研究は明治維新の頃...出発点が違う」

韓国紙が今年も受賞できなかったノーベル賞について、この時期が逆説的な意味で「むしろ嬉しい」とする科学者の考えを報じている。

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マネートゥデイ紙は8日、チャ・ドゥウォン=チャ・ドゥウォンモビリティ研究所所長の寄稿文『ノーベル科学賞シーズンが嬉しい理由』を掲載した。

チャ所長は「2021年のノーベル科学賞受賞者の発表が終わった」とし、「まだ一人も韓国人科学者が受賞していないという現実は残念なのは、科学技術界だけでなく、すべての国民も同様である」と述べた。

その上で、毎年10月になると、「なぜ韓国がノーベル科学賞を受け取れないかについて多くの批判と専門家のアドバイスがマスコミから降り注ぐ」とし、「ノーベル科学賞の発表が終了すると、日本人あるいは日本国籍の科学者が毎年受賞するのになぜ韓国は受賞できないのかという記事も繰り返される」と述べた。

チャ所長は毎年同じような指摘や分析が反復されるとしつつ、特に、日本のように基礎研究の振興が議論されるが、「1989年になって基礎研究を本格的に推進した韓国と、明治維新の時から西洋の基礎研究を受け入れた日本はスタートラインが異なる」と指摘した。

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一方でチャ所長は、「しかし、ノーベル科学賞シーズンになると嬉しいこともある」とし、その理由について、「逆説的に、政府の科学技術政策の評価と議論がこれまで以上に活発に行われるからである」と述べ、国民の関心が高まり、研究予算が増える現状を伝える。

実際、韓国政府は、2017年に1兆2600億ウォン規模だった基礎研究支援予算を来年は2兆5200億ウォンへと、5年ぶりに2倍に増額する。また、科学技術外交のためにスウェーデンとのネットワークも強化し、スウェーデンの科学館新設も推進されている。

チャ所長は、「すでに学齢人口が大学入学定員より少ない状況が始まっている」ことから、「今後の科学技術界をリードしていく人材についての、より深い悩みが必要である」とし、「すでに学齢人口の減少は、大学院生の減少につながって、昨年ソウル市内の40の一般的な大学院のうち、定員割れが34(全体の85%)もあった」と指摘。

その上で、「ノーベル科学賞どころか、科学技術の水準を維持も容易ではないという点を認識しなければならない」と警鐘を鳴らしている。

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