すずめごろし峠に「時計台」完成 全国からCF 通学児童にエール 諫早

「小さな時計台」を見ながら登校する児童=諫早市森山町、すずめごろし峠

 通称「すずめごろし峠」と呼ばれる長崎県諫早市森山町の険しい峠道。ここを通って登下校する子どもらにエールを送ろうと、地元の田尻自治会(西村清貴会長)が中心となって設置に取り組んだ「小さな時計台」が完成し、4日、子どもたちが“歩き初め”をした。
 同峠の名称の由来は昔、スズメが転がり落ちるほど急峻(きゅうしゅん)だった-など諸説ある。田尻地区から市立森山東小へ向かう最短ルート上にあり、自然の中で多様な発見ができる場になっている。登下校時のシンボルとも言える場所だが民家や人通りがほとんどない。このため、保護者から「待ち合わせの目印がほしい」「子どもたちが時間管理を習慣にするきっかけに」などと時計台設置を望む声が上がっていた。
 地元の力を結集する機会にしたいと同自治会がクラウドファンディングを通じて協力を呼び掛けたところ、翌日には当初目標の20万円を突破。現金を直接持参する地元住民も多く、約1カ月で全国226人から167万円が集まった。
 予想以上の反響があったとして、同じ町内の森山西小に通学する児童にも役立ててほしいと、島原鉄道釜の鼻駅に近い国道57号沿いにも同じ時計台を設置。余剰金は万一の破損に備える保険などに充てる。
 時計台は、地面からの高さ2.8メートルの部分に、時計(直径45センチ)が表裏2面に付いている。ステンレス板にスズメの透かし彫りがあり、コンクリート製の土台には子どもら28人が手描きしたタイルをハート形に埋め込んだ。
 森山東小6年の眞壁卓杜(たくと)君(12)は「時間を確認するのに便利」と笑顔を見せた。西村会長(71)は「子どもたちの成長を見守る活動に広く深く共感頂いたと実感し、支援に感謝している。この時計台が今後もさまざまな人をつなげる存在になれば」と話した。

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