ソフトバンク長谷川 涙の引退会見「足がボロボロ」「僕だからこそやってこれたと胸を張って言える」

ソフトバンク・長谷川勇也(東スポWeb)

鷹の求道者がユニホームを脱ぐ。今季限りの引退を決断したソフトバンクの長谷川勇也外野手(36)が9日、ペイペイドームで引退会見を行った。

思いが溢れ出た。プロ15年間。ストイックな姿勢でひたすら打撃技術の向上に取り組んできた。「悔いはないです」。こうニッコリ笑顔を浮かべて口にしたが、そこから涙が止まらなくなった。涙がとめどなく溢れ沈黙が続く。目を真っ赤にして「悔いなくユニホームを脱ぎます」と再び言葉を絞り出した。

2013年に打率3割4分1厘、198安打と圧倒的な成績で首位打者と最多安打をマーク。天才安打製造機として大ブレークした。

しかし、翌2014年に右足首を故障。そこから足の状態と向き合いながら、一筋縄ではいかない野球生活が始まった。

「最初はなぜこうなってしまったんだろうか」と苦しんだという。ただ、そこで決して折れることはなかった。「この体、この足に合わせたバッティングを作り上げることを考えてやりました」。

2015年以降、規定打席に届くことはなかったが、高い打撃技術と勝利への姿勢でチームの常勝期を支えた。今季も代打の切り札として起用されるなど70試合に出場し、打率2割6分3厘、3本塁打、打点の成績を残した。

ただ、今季はキャンプ初日から足首に変調をきたすなど、例年以上に苦しい中でのシーズンだったという。「ちょっと違うなと違和感を感じていた。交流戦に入ったころから顕著に感じるようになっていた」。

9月は代打の10打席でノーヒット(2四球)に終わり、今月2日に登録抹消となっていた。それでも、まだやれるはず…誰もがそう思っていたが、驚きの決断だった。

「1年1年が勝負と毎シーズンやってきました。足がボロボロになったことを実感していました。それが打撃にも影響してしまったというのが決断に至った理由です」

プロ15年の成績は1232試合で打率2割8分8厘、1108安打、76本塁打、434打点。涙だけではない。やりきった晴れやかな表情も浮かべた。

「決して順風満帆ではなかった。きれいな道を歩いてきたわけではないと思う。山あり谷あり、それしかなかったと思います。でも、僕だからこそ、こうして山を越えて谷をのぼって、やってこれたのかなと思う。そこは胸を張って自分で言えます」

将来は指導者としてチームに貢献したい思いを持っている。「僕は198本しか打ってない。200打てる選手にかかわりたいなと思う。そういう夢を持ってます」。長谷川の第二の人生が始まる。

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