岸田首相所信表明に失望の声 「核禁条約」なぜ触れぬ 「反核9の日座り込み」参加者

95人が参加した「反核9の日座り込み」=長崎市、平和公園

 県平和運動センターなどは9日、長崎市松山町の平和公園で470回目の「反核9の日座り込み」を行った。被爆者や高校生平和大使ら計95人が参加。広島出身の岸田文雄首相が8日の所信表明演説で核兵器禁止条約に触れなかったことについて、参加者から失望の声が上がった。
 岸田首相は演説で「被爆地・広島出身の総理大臣として目指すのは核兵器のない世界。核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、唯一の戦争被爆国としての責務を果たす」と語った。一方で、1月に発効し、日本が批准していない核兵器禁止条約には言及しなかった。
 同センター被爆連議長の川野浩一さん(81)は「なぜ核禁条約に触れなかったのか。橋渡し役なら、これまでの首相の主張と変わらない」と失望感を示し「被爆地・広島出身だと胸を張って言えることをしてほしい」と訴えた。
 高校生1万人署名活動に参加している創成館高2年の松山咲さん(16)は「核禁条約が発効して世界が核問題に注目している中、署名活動の必要性を日々感じる。新型コロナウイルスに負けず、活動に励んでいく」と述べた。

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