その瞬間、三浦監督は震える右手を突き上げ、会心の笑みを浮かべた。
ドラフト1位で指名した小園(市和歌山高)の交渉権を懸けた阪神との一騎打ち。自宅近くの神社で参拝してから抽選に挑んだ指揮官が先に当たりくじを引いた。「めちゃめちゃ興奮した。うれしいしホッとした」
2008年を最後に、他球団との競合に敗れてきた負の歴史がついに止まった。親会社がDeNAとなって初めて高卒投手を1位指名で獲得。三原一晃代表が「監督のおかげで思い通りにいった。100点」という今回のドラフト成功への道筋が描かれた。
これまで今永、東、入江ら大卒の即戦力投手を一本釣りしてきたが、三原代表は「小園君は完成された投手。早い時期に横浜スタジアムで活躍できるし、スカウト会議でずばぬけて評価が高かった」と競合覚悟で次世代のエース候補に狙いを定めた。
駒不足に悩まされた投手陣の底上げにも成功した。2巡目トップで最速152キロを誇る徳山(早大)、4位で4年春までに10勝の三浦(法大)と東京六大学リーグを代表する即戦力右腕を指名。5位で右横手の深沢(専大松戸高)と右4枚をそろえた。
手薄な23歳以下の外野陣も6位の梶原(神大)や育成を含め3選手を指名。3位では大型内野手の粟飯原(東京学館高)と世代別で手薄なポジションに厚みを持たせた。「高校生、大学生でそれぞれ一番評価の高い投手に加え、野手陣は内野、外野で非常に評価の高い選手を獲得できた」と三原代表。大仕事をやってのけた三浦監督も「思い入れも強くなる」と心底うれしそうだった。