学童野球コーチの苦悩 レッド吉田が考える「強いチーム」と「弱いチーム」の差とは

お笑いコンビTIMのレッド吉田さん【写真:高木希】

選手を集めた時に注意する方が「自分が悪い」とわかることもある

甲子園出場経験を持つお笑いコンビ「TIM」のレッド吉田さんは、プロ野球選手を目指す小学5年生の三男・運(めぐる)くんとともに歩んでいる。連載「レッド吉田の“巡る”野球界」。第5回のテーマは運くんがプレーする学童野球チームでコーチを務めて実感していること。パパコーチも大変なんです。

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僕は今、小学5年生の息子が所属する学童野球のチームでコーチをしています。半年以上が経ちましたが、子どもに教えるのは本当に難しい。ある程度、動きが分かっている子どもばかりではないので、何から教えたらいいのだろうと戸惑うこともあります。

コーチをしようと思った理由は、息子をプロ野球選手にするために深く関わりたいと思ったからです。当然、息子に対してもチームに対しても熱くなりますが、監督ではないので、俯瞰して見ることもできています。

強いチームと弱いチームの差も分かってきました。弱いチームはメリハリがありません。親が協力的なチームは強い傾向にあります。練習や試合を積極的にサポートする親は子どもに「きょうの練習中、何で怒られたか理解できた?」というように自宅で復習ができるからです。親が責任を持っているチームの方が強くなると感じています。

子どもへの叱り方も重要だと思います。例えば、全体練習中にダラダラしている子どもがいた場合、1対1より、みんなを集めた時に注意する方が効果はあると考えています。全体の中で叱られると「みんなは、ちゃんとやっている。自分が悪い」と分かるみたいです。

自分の子どもが「本来進むべき方向から外れないように心掛けています」

僕たちコーチや親は、自分が全て正解だとは思っていません。「子どもファーストとは何か」と考えると、実は難しいんです。人間教育なのか、野球を上達させることなのか、チームによって哲学は違います。何を持って「子どもファースト」とするのか、チームとして1本太い芯が必要だと考えています。過保護にするのは違うし、子どものためを思えば厳しさは必要です。

この前の試合で、息子のチームは0-42で負けました。この結果の捉え方は、子どもや親によって温度差があります。うちは、プロ野球選手になると強い決意で練習しています。試合で負ければ何が悪かったのか、どこを改善すればいいのか考えます。他の子どもたちは必ずしもプロを目指しているわけではないので、自分たちの考え方を押し付けることはできません。

他の子たちに強制はできないので、うちの子が本来進むべき方向から外れないように心掛けています。自分の中では目指す方向性はぶれていないので、息子には「プロになるんだから、他の人がどうしているかではなくて、自分がしっかりしないとダメだよね」と伝えています。

学童野球で全員をうまくすることは現実的には難しいです。全員が全てのポジションをできたらと理想を持ってコーチを始めましたが、指導者が子どもたちの適性を把握する方が大切だと気付きました。肩が強い子は投手、空間認識能力が高い子には外野と、それぞれに向いているポジションを与えてチーム作りをしていくのがベストなのかなと今は思っています。

○プロフィール
レッド吉田 1965年10月30日生まれ、京都府出身。名門・東山高(京都)で1983年夏の甲子園に出場する。ゴルゴ松本とともにお笑いコンビ・TIMを結成し、バラエティ番組で人気に。野球が大好きで、5児の父としても奮闘中。三男・運(めぐる)くんをプロ野球選手にするために立ち上げたYouTubeチャンネル「レッド吉田の野球子育て奮闘記~めぐる巨人への道~」を開設中。(記事提供:First-Pitch編集部)

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