月の生活費が予算通りでもなぜかお金が貯まらない…注意したい支出とは?

日々の食費や毎月の通信費など、生活費の節約に励んでいるのになぜかお金が貯まらないという人は、「今年は○○があったから仕方ない」という言い訳を、自分自身にしたことがないか振り返ってみてください。

毎月の生活費以外に発生する「臨時支出」は、お金を貯めるためには必ず注目したい支出です。臨時支出をきちんと把握してコントロールできるようになれば、1年、3年、5年など、長期間安定してお金を貯められるようになるでしょう。


1年間で発生している「臨時支出」はいくら?

家計相談でたくさんの相談者から話を聞いていると、毎月の支出は大体把握できている人は多いものの、「毎年の支出」を把握している人は少ない印象を受けます。

毎年の支出には、住居費・食費などの基本的な生活費以外に、旅行や冠婚葬祭、家電の買い替えなどの「臨時支出」が含まれています。つまり、毎月の生活費は把握していても、臨時支出の金額はあまり把握できていない人が多いのです。

1年間で発生した臨時支出の金額は、支出を毎度記録していなくても、毎月の生活費や1年間で貯まった貯金額(銀行口座の残高が1年前よりいくら増えているか確認すれば分かります)を把握できれば、案外単純な作業で金額を確認できます。ざっくりで良いので、次の通り一度計算してみてください。

<1年間の臨時支出の確認方法>
手順1:「手取り収入-1年間で貯まったお金」を計算して「1年間の支出」を出す
手順2:「1年間の支出-毎月の生活費×12カ月」を計算した結果が「1年間の臨時支出」

1年間の臨時支出は、年毎や家庭により差が激しいのですが、50万円や100万円を超えることも珍しくはありません。臨時支出の金額が大きい人ほど、中身を知ることで減らせる支出を見つけやすく、貯蓄額を増やすチャンスにつながります。

臨時支出は「ほぼ必然」と自覚しよう

お金が貯まらない人ほど、臨時支出を文字通り「本来発生しなかった予定外の支出」と認識しがちです。しかし、臨時支出のほとんどは、1年や2年に1度など、「定期的にほぼ確実に発生する支出」です。

具体的には、税金の納税、帰省・旅行、冠婚葬祭、家族・友人へのプレゼント、賃貸住宅の更新料、自動車の車検費用や保険料、子どもの教育費(塾や習い事の季節イベント・部活の合宿代など)、年払いの保険料やNHK受信料などが挙げられます。

このような臨時支出は発生することが予想できるものがほとんどですので、まずは「支出が発生する時期に備えて計画的に準備しておく必要がある」という意識を持つことが大切なのです。

臨時支出はリストアップして把握しよう!

臨時支出に備えるためには、臨時支出のリストアップが有効です。銀行口座やクレジットカードの明細を1年~3年分見返しながら、これから発生する臨時支出の内容や金額、必要な頻度などを予想し、計画表を作ってみましょう。

計画表には、定期的に発生する臨時費用のほか、車の購入や買い替え、結婚式、出産費用など、今後実現したいプチライフプランも入れておくと、より実態に近くなるでしょう。

さらに臨時支出の金額をより分かりやすく把握するため、「ひと月当たりの金額」も算出してみてください。次の表のように、臨時支出ごとに「1回あたりの金額÷頻度(〇カ月毎)」を計算することで分かります。

家具・家電用にも月1万円~2万円確保しよう

テレビ、パソコン、スマホ、冷蔵後、洗濯機、エアコン、ソファ、カーテン、自転車、ゲーム機など、どの家庭でも発生する家具や家電の買い替えについては、「ひと月当たり1万円~2万円かかるもの」と決めて、計画的に予算を確保しておくのがおすすめです。

あらかじめお金を確保しておくことで、急な買い替えが発生してもあわてずに対応できることが増えるでしょう。1人暮らしでシンプルな家具家電を好むなら月1万円。便利な家電を好むファミリーなら月2万円が目安になります。

臨時支出は別口座での管理がおすすめ

臨時支出は不定期に発生するため、生活費とは別の銀行口座にお金を置いて管理するのがおすすめです。臨時支出の計画表をもとに、毎月またはボーナスにまとめて臨時支出用の口座にお金を移すようにすれば、確実に臨時支出に備えることができます。

その際、病気やケガの医療費などの発生頻度が予想できない臨時支出に備えて、毎月5,000円や1万円など、「予備費」も加えて準備しておくとより安心です。

なお、教育費やマイホーム費用などの将来のための貯金についても、生活費や臨時支出とは口座を分けるのがおすすめです。貯蓄専用と決めた口座に自動積立などを行うことで、確実に貯めていくことができるでしょう。

臨時出費が多くてお金が貯められないなら?

臨時支出の計画表を作った結果、なかには「このままではお金が貯まらない……」と気づく人もいるでしょう。そのときは、臨時支出のリストの中からグレードダウンさせても構わない臨時支出を探してみましょう。

「自動車に乗る頻度が少ないので、カーシェアに切り替える」「子どもが成長したので、次は電動自転車ではなく普通自転車を買う」など、できるだけ生活に無理がないようにコストを下げる方法を考えてみましょう。費用が大きいものほど、見直し効果は高くなります。

また、普段の生活に影響しにくいのはレジャー目的の旅行費用です。無理のない予算内におさまる旅行先にすることで、旅行先でも安心してお金を使えるでしょう。

ただ、楽しみに使えるお金を予算ガチガチに固めてしまうのはつまらないものです。「ボーナスが多かった」「冠婚葬祭が少なく支出が抑えられた」など、予想より家計にゆとりができたときに使う「ごほうび臨時支出」もリストアップしておくと、前向きに家計と向き合いやすくなるかもしれませんね。

臨時支出の計画表を作れば、「予想外の支出があった」という事態は起こりにくくなります。臨時支出を「予定通りの支出」にすることで、予定通りお金も貯められる家計にしていきましょう。

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