株式会社ホクショク(新潟県長岡市)が、同社運営の酒販店「酒屋平成堂」(長岡市川崎)の敷地内にクラフトビール醸造所を建設中

酒販店「酒屋平成堂」(長岡市川崎)

良寛しょうゆやキッコーシンしょうゆなど醤油・味噌の製造販売、食品食材の卸売販売、酒類・食品の小売販売を手がける株式会社ホクショク(新潟県長岡市)は、同社が運営する酒販店「酒屋平成堂」(長岡市川崎)の敷地内にクラフトビール醸造所「HEISEI BREWING」の建設を進めている。工事は11月中に完了し、酒造免許の交付とともに12月中にも生産を開始する予定だ。早ければクリスマス頃には業務用の出荷を始め、来年1月中旬以降には瓶詰の商品販売も開始する。なお長岡市内でクラフトビールの製造を始めるのは、吉乃川に続いて2社目となる。

同社は昭和47年(1972年)に新潟県内の老舗18社の協業合併により誕生した新潟県醤油協業組合(醤油の製造)からスタートした。その後、製品初出荷の昭和49年には販売会社である株式会社ホクショクを創業し、さらに卸や小売部門へと事業を拡大していった。

そんな同社が、クラフトビールの製造に乗り出すことになった経緯について、HEISEI BREWINGを担当するホクショクの佐藤雅史氏はこう話す。佐藤氏は、南魚沼市にあったストレンジブルーイング(南魚沼市)で工場代表などを務め、ホクショクへと転職した経歴をもつ。

佐藤雅史氏。手にしているのは自社生産の酵母だ

「酒屋平成堂では数年前からクラフトビールの販売を始めました。今では県内外の50社以上のクラフトビールを販売し、長岡市内外から多くのお客様に来店いただいています。また2年半ほど前から、毎月1回、ナガオカ・クラフトビール・フェスティバル実行委員会(大竹祐介会長)との協働で、クラフトビールメーカー3〜4社様にご出店いただき、試飲や量り売りをするテイクアウトイベント(次回開催は11月6、7日)を店舗前の駐車場を会場に開催しています。こうした流れの中で、自社でもクラフトビールを製造することになりました」

建設を進める醸造所の面積は約77平方メートル。500リットルのタンクを4本設置し、クラフトビールを製造する。月産の生産能力は2,000リットル以上という。

酒屋平成堂では県内外の50社以上のクラフトビールを販売している

この醸造所の最大の特徴は、多くの醸造所がビールの種菌である酵母を購入してくるなか、これまでの味噌やしょうゆの製造ノウハウを生かし、自社で酵母を生産することだ。産地を確実に証明することができるため、他社製品との差別化や強みになることが期待できる。

また、醸造所に隣接する酒屋平成堂の余剰スペースを利用して、「イートインコーナー(タップルーム)」を設置する。来年1月頃をめどに開設する予定だが、現在、コロナ禍のため、イベントで行っているクラフトビールの量り売り(つまりテイクアウト)の常設コーナーとして主に活用していくという。

なお商品としては先述の通り業務用と瓶詰めがある。

業務用は、10リットルの使い捨ての樽に入れて、主にホクショクや酒屋平成堂の販路(飲食店)などを活用して販売する。一方、瓶詰の商品は330ミリリットル入りで、定番を5アイテム予定している。大手のクラフトビールにはラガーが多いのに対し、同社のクラフトビールは、「ワインのようにゆっくりと味わえる」(佐藤氏)というペールエール、HAZY IPAなどとなる。

醸造所やイベントの情報は、酒屋平成堂のfacebook、Instagram、Twitterで随時発信している。

(Facebook)
(Instagram)
(Twitter)@HeiseiBrewing

試飲や量り売りをするテイクアウトイベントの様子

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